第二百四話・レンヤ、リタイの町を去る事を決める
――時は現在に戻り、ここは朝を迎えたリタイの町。
「ふわぁあ~~よく寝たぁぁ~~っ!」
俺はアクビをした後、ベッドからゆっくりと起きると、閉じた窓を
ガチャッと開ける。
「おお。今日も良い天気のようだな♪くうぅぅ~~良好、良好♪」
そして眠気を覚ますかの様に、グッと背を伸ばして深い深呼吸をした。
「オークションも無事に済んである程度の路銀もゲットしたし、旅準備の
支度の方も大体済んだし、そろそろリタイの町を出る時が来たかな?」
うっし!
「今日の行動を最後に、明日ここを去って予定の港町ウィークへと
出発しますか!」
レンヤが今日と明日の予定を決めていると...
「はぁぁあわわ~!よく寝たぁ~~っ!」
俺と似た様な台詞でアクビをしながらルコールが起きる。
「あれ?レンヤ、もう起きてるの?やっぱ年寄りは起きるのが早いね♪」
「だ、誰が年寄りだ!お前なんか、数百歳過ぎ――」
おっと、いかん、いかん。
ここで...
「誰が年寄りだ!お前なんか、数百歳過ぎたババアじゃないかっ!そんな
ババアに年寄り呼ばわりされたくないわぁぁぁあっ!」
...なんて言おうものなら、瞬時にアイアンクローの餌食だ。
納得いかないが、あれを朝から食らいたくないので、反論はやめておくか。
「......で、レンヤ。今日はどうすんの?予定は何か立ててあるの?」
「ん?今日の予定か?ああ、勿論立てているぞ。今日の予定はプレシアや
ミュミュ達に別れの挨拶をして回ろうかなと思っている!」
「ふ~ん、別れの挨拶をねぇ......ん?別れの挨拶?それってどういう事?」
「それはな。明日ここ...リタイの町を立とうかと思ってよ。これ以上ここに
居座っていると、あの城の連中に見つかってしまう可能性が高くなるんでな!」
そうなってしまうと、プレシアやギルドの連中に迷惑かけちゃうだろうからな。
「......とまぁ、そういうわけだから、俺はその挨拶回りをし、そしてその後は
アイテムチェックをする予定だ。で、お前はどうする?」
「あたし?ふむ、そうだなぁ~あたしは最後の屋台巡りでもやっとくかな?」
「屋台巡りね、うんわかった。じゃあ、屋台広場の途中まで一緒に行くとして、
その後、ひと先ずの解散だな!」
「そだねぇ♪」
俺とルコールは今日の予定を決めると、プレシアに明日ここを去る旨を
伝えるべく、下の階へと降りて行く。
そしてお世話になった宿の主人プレシアに、明日リタイを去る事を伝える。
「そ、そうですか、明日ここを......それは寂しくなっちゃいますね...」
レンヤから明日リタイを立つと聞かされたプレシアは、寂しそうな表情で
しんみりとしてしまう。
「んもう!おじ様はお年寄りさんなんだから、そんな危ない旅に出ないで、
このリタイの町でゆっくり余生を過ごせばいいのに......」
「お~~い!キミも俺を年寄り呼ばわりするのかいっ!でもまぁ正直、
プレシアの言う事が俺の本音ちゃあ、本音なんだけどもね......ははは」
「だったら!」
「でもさ、そうも言ってはいられない、泣く泣くな事情があるんだよ。
残念だけどさ。それを吹っとばさない限り、のんびりできないんだ...だから
ホント、すまんなプレシア!」
レンヤが残念全開の表情にて、やむを得ないんだよとプレシアを納得させる。




