第二百一話・謎の少女の正体は?
「あ!み、見てみなよ......みんな。あ、あいつの背中に生えている......
あの羽根......!」
久美も二人に続けて空をバッと見上げると、謎の少女の背中から黒い大きな
羽根が生えている事に気づく。
「ひ、ひょっとしてあの子......リコット王女の言っていた......魔人族なんじゃ!?」
そして黒い羽根を連想させるとある種族......魔人族を口にする。
「ほへ!?ま、魔人族!?それじゃあの子、敵って事じゃん!?こ、光太郎君!
久美ちゃん!」
「く...わかっているっ!雨咲さん!大野さん!あいつの攻撃に注意をしつつ、
各自のスリーマンセルフォーメーションの定位置に移動してっ!」
芽々の切迫する言葉に、光太郎が気持ちを戦闘モードに素早く切り替えると、
久美と芽々に指示を出す。
「了解......わかった!」
「合点承知の助!」
光太郎の指示通りの持ち場に三人が移動した後、それぞれが手に武器を持ち、
戦闘体勢へと入っていく。
それを見た謎の少女は、
「え、えっと...その~ですね...や、やる気満々のところを大変に申し訳が
ないのですけれども~。わたくし、あなた達と事を構えるつもりなんて
まったくございませんよ?」
ビックリした表情を浮かべつつも、やんわりした口調で光太郎達の戦闘体勢を
やめさせようとする。
しかし、
「だ、黙れ!そんなこと信じられるものか!戯れ言でオレ達を騙される等と
思うなよっ!」
「そうそう!リコット王女達から聞いた話じゃ、あんたら魔人族に理屈は
全然通じないって聞いているしねぇ~!」
見るからに怪しい謎の少女の言葉なんて、光太郎は勿論の事、芽々も流石に
信じる気はまったくない。
「はぁぁあいっ!?!?わわ、わたくしが、ま、魔人族ですってぇぇぇえ!?
い、いくらなんでも失敬過ぎますわよ、貴方達っ!こ、このわたくしをあんな
魔人族如きとお間違いなられるなんてぇぇええっ!」
芽々から魔人族と呼ばれた事に、謎の少女がこれでもかというくらいに目を
大きく見開いて驚き、それを思いっきり否定してくる。
だが、
「ふん......見苦しい大嘘をつくのは大概にしておけよ......魔人族の女。
その背中に生える黒い悪魔の様な羽根......それが何よりもの証拠だ......!」
久美が冷静沈着な目線でキッと謎の少女を睨みつけると、背中の黒い羽根に
向けて人差し指をビシッと突きつけた。
「あ、悪魔!?よよ、よりにもよってこの美しい漆黒の羽根を、あんな低俗で
醜悪なる悪魔の羽根呼ばわりですってぇぇえ!?ぐ......そちらのポニーテールの
子といい、貴女といい、本当失礼極まりがありませんわね!良いですか聞きなさい!
この羽根はですね、あの誇り高きは最高種族、ドラゴンの羽根ですわっ!」
「ド、ドラゴンの!?」
自分の羽根をスリスリと頬擦りしながら、謎の少女が芽々と久美を窘めるように
この羽根は何か、それを説明していく。
「そう!この世の数ある種の中でも断トツ上位に立つと謳われるドラゴン!
わたくしはその血を色濃く受け継いだ種族......竜人族ですわっ!」
「りゅ、竜人族!?」
そして久美に向かって人差し指をビシッと突き返すと、エッヘンドヤ顔を決める。
「......竜人族。そういえば、リコット王女がこの世界を説明する時に言っていたな。
もし竜人族と出逢ってしまったら、穏便に事なきを得ろとか......」
「あ!はいはい。あたしも覚えている!それプラス、竜人族は規格外な存在だから、
決して怒らせないようにとか言っていたっけ?」
光太郎の呟きを聞き、芽々も手のひらをポンと叩き、リコット王女の言葉を
脳裏の中に思い出す。




