第二百話・空に浮かぶ謎の少女
「でもまぁ。あの連中、おじさんの捜索要請には多分というか...絶対に
是非を唱えないと思うけどね!」
「あはは♪そりゃ~そうでしょう!だってあいつら、さっきも言ったけど、
リコット王女を怒らせたんだよ、畏れ多くてお城に顔なんか出せないって!
それにおっさんにボコボッコにされた挙げ句、真っ裸で1日中お城で放置を
くらっていたんだ。その恥ずかしさも相まって、絶っ対にやって来ないで
しょうねぇ~♪」
「はは...た、確かに来れないだろうな。ただでさえ、リコット王女を怒らせて
しまい、合わせる顔がないっていうのに、それにプラス、あんなトラウマ
レベルの大失態をしたんだものな。オレがあの連中と同じ立場だったら、
絶対に恥ずかしくて来ないと思う......」
芽々と光太郎が当時の現場...レンヤからボコボコにされて床に真っ裸で
転がっていた騎士達と神官達を思い出すと、
芽々は騎士達と神官達の情けないその姿にケラケラと笑い転げ、
光太郎は騎士達や神官達の情けないその姿に、可哀想さと憐れみを含んだ
苦笑をこぼす。
「うぐぅ......あ、あの時の状況を思い出したら、吐き気がしてきた......。
うえっぷ...ぅ......お、思い出させんな......クソ芽々ぇぇ......」
そして久美は、情けなくもみっともないその騎士達や神官達の姿に、
嫌悪感全開の表情で眉を八の字に下げ、具合を悪くしていく。
「......そういうわけで、あのおじさんに酷い目に合わされたあの連中が、
関わりたくも会いたくもないおじさんの捜索、それに参加をする訳がない。
そういう訳で、おじさんの捜索にはオレ達の協力が必要不可欠。なのに......」
「その要請がされないという事は、おっさんが見つかったとかじゃなくて、
別件の事でカルードさん達は慌てていたって事かぁ~っ!」
神妙な面持ちで告げる光太郎の言葉に、芽々が「なるほど」という表情で
納得する。
「だったら、何を聞いてあんなに慌てていたんだろうね、カルードさん?」
「そうだな......ボクが考えるには.........」
それから光太郎と芽々と久美の三人は、あの騎士さんとカルードさんは
一体何に対してあんなにも動揺し、慌てていたんだろうか?
それを、ああじゃないか、こうじゃないかと、それぞれが意見を出し合って
語っていく。
そして、三人が散々意見を言い合った後。
「ふう。ここでチマチマと思考し......考えていても......所詮は想像の範疇で
机上の空論。なので......慌てていたその訳と理由を本人達......あの連中に
直接問い質しに行くべき。恐らくその方がきっと早いし......良策だと思う!」
「そだねぇ。久美ちゃんの言う通り、ここであ~だ、こ~だと、つべこべ悩んで
いてもしょうがないか!うっしゃ~っ♪それじゃあ~久美ちゃん、光太郎君!
何をそんなに慌てていたのか、それを問い質しにカルードさんの所に行こうかっ!」
「ふむ。思い立ったが吉日とも言うし......。よし、行ってみるか!」
「了解~♪」
「うむ......わかった!」
久美の提案に芽々と光太郎が賛同すると、芽々、久美、光太郎の三人は、
急ぎカルード達のいる場所へ向かう。
...が、その瞬間!
「あの~つかぬことをお聞きしますが、もしかしてあなた達が勇者様ですか?」
「え!?」
上空から突如聞こえてくる謎の声に、光太郎がビックリした顔をして
天を見上げる。
「な、なんだあれ!?お、女の子が空に浮いている!?」
「へ!お、女の子!?あっ!ホ、ホントだ!お、女の子が空を飛んでる!?」
そして続けて芽々も空に顔を向けると、そこには少女らしき人物がプカプカと
空を飛んでいた。




