第百九十九話・おっさんの行方がわかったのかも?
「ゴホンッ!そ、そんなくだらない話よりも...さっき大野さんが
言いかけた話だけどさ...あの騎士さん、カルードさんに一体何を
伝達しに来たと思う?」
「お!やっぱり光太郎君も気になっちゃう?だよねぇ~とっても気に
なっちゃうよねぇ~!あの騎士さんってば、かなり動揺した様子で
やって来たもんねぇ~♪だからきっと、何かトンでもない事を伝えに
来たと思うんだよ、あたしが考えるにさぁ!で、久美ちゃんはそこんとこ、
どう考える?」
「うむ......そうだな。あの騎士の慌て様......そしてカルードさんの動揺を
見るに、芽々の言葉通り......かなりの大事が起こった。その予測は恐らく
確実かと思う......」
芽々から問われると、久美は顎に手を添えて少し考え、そして自分の意見を
口にしていく。
「だっよねぇ~!カルードさんったら、あの騎士さんに何かを伝達された
瞬間、思いっきり慌てていたもんねぇ~!あっ!もしかしたら、お城から
行方をくらませた、あたし達と一緒に召喚されたあのおっさんの行方が
わかったとかかもっ!?」
「あのおじさんの行方か......。まぁ確かにその可能性も無きにしもあらず
ではあるかもね。でもそうだとするのなら、別にオレ達にその事を隠し
立てする必要はないんじゃないのか?」
芽々のレンヤを発見したんじゃという発言に対し、光太郎は首を左右に
軽く振って、芽々の発言を正論で否定する。
「う~む、それもそうだよねぇ~?」
「もし芽々の言葉通り......おじさんの行方が見つかったと想定するなら......
おじさんの捕獲の命...それが騎士達に下ったのかも......?」
「う~ん、それもないと思うよ。だって、リコット王女の下した決断は
おじさんへの全面謝罪と決まったからね。それにトーヴァス陛下も同じく、
おじさんには謝罪を含めたお詫びをしたいとか言っていたし!」
光太郎はトーヴァス陛下とリコット王女のやり取りをふと思い出し、
レンヤの捕獲ではないと断言する。
「そっか...それじゃ「王家に弓を引いた不遜な男を捉えろやぁぁあっ!」
...とかいうのは、ないって事か?」
「だね。仮に雨咲さんや大野さんの言う様に、もしおじさんの捜索や捕縛だったと
したら、オレ達はあのおじさんの顔を覚えている。だからオレ達におじさんの
捜索をお願いする協力要請があるだろうしね!」
「あ、そっか!おっさんの顔って、あの場にいたリコット王女とあたし達しか
知らないんだった!」
「正確にいうと、おじさんからボコボコにされた騎士達や神官達も、おじさんの
顔を見ているけどな!」
「あぁ~~はいはい。おっさんに余計な事を仕出かして、リコット王女と
トーヴァス陛下から激怒されたあいつらもあの現場にいたっけか♪」
光太郎の言葉に、芽々が「そうだった、そうだった!」と言わんばかりに
手のひらをポンと叩いて相づちを打つ。




