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第百九十七話・御託と屁理屈


「うう...お尻が焼けて痛いよぉお~~。ヒリヒリするよぉおおぅぅ~~!」


何とか炎は消えたが、しかしお尻は火傷で真っ赤に腫れ上がっており、

その火傷の激痛がお尻を迸る度、芽々の瞳からホロリと涙が零れ落ちる。


「ふう...まさに自業自得だよ、大野さん。その痛みを教訓にし、今度からは

あまり人の嫌がる事をしない事だね!」


ジト目の表情で光太郎が嘆息を軽く吐くと、芽々に今後の行動を改めるよう、

咎め口調にて注意する。


だが、そんな光太郎の注意に対し、


「ヘン!嫌だね、断固として断るってもんだ!あたしはぜぇえぇぇ~っったいに、

久美ちゃんを抱き締めるのをやめたりなんてしませんからねぇぇえ~~だっ!!」


芽々は顔をプイッと横に振って力強くそう宣言すると、思いっきりアッカンベーを

光太郎にかます。


しかしそんな横着な態度をとったにも関わらず、芽々は悪びれ事もなく表情を

ニコッと変えると、


「そんなことよりも光太郎くぅ~~~ん♪キミの回復魔法(ヒール)をあたしに

早くかけてよぉぉお~~!おっねがあぁぁぁ~~~い♪」


光太郎の顔をジィィーッと上目遣いで見つめながら、回復魔法(ヒール)のお願いを

甘えた声でしてくる。


「...よ、よくもまぁ、あんな態度を取った後、オレに頼みごとが出来るよね......」


そんな芽々に、光太郎がウソだろうといった表情でしばらく唖然とした後、


「だけどゴメン、大野さん。キミに回復魔法(ヒール)をかける事は出来ないんだよ。

ホント、申し訳ないねっ!」


表情を真面目な表情に変えると、回復魔法(ヒール)をかける事は出来ないと

芽々に告げ、そして頭をペコッと下げて謝ってくる。


「ハァァッ!な、なんでさぁあっ!?何で出来ないのさぁぁあっ!?」


そんな光太郎の言葉に納得のいかない芽々は、何で回復魔法(ヒール)が出来ないんだと

詰め寄る様に食い下がる。


「え、えっと...じ、実はさ、オレの回復魔法(ヒール)って、まだまだ未熟でさ。

自分以外の者を回復させる為には、回復させる者の肌に直接触れないと

回復魔法(ヒール)が発動してくれないんだよ」


目を見開くように抗議してくる芽々に、光太郎が圧倒されつつも、何故回復魔法(ヒール)

出来ないのか、その理由を詳しく説明していく。


「そういう訳なんで。悪いんだけど、大野さん。オレからの回復魔法(ヒール)は諦め――」


「――構わん!」


「......へ?」


「だ~か~ら~、肌を触るくらい別に構わんと言ったのだよっ!そんなもん、

あたしはちっとも気にもしないので、ズバッと触っちゃってよ!ズバッとさっ!

今にでものたうち回りたい、この火傷の激痛に比べれば、おケツを触られる程度の

ことくらい、お茶の子さいさいのお安いものだっていうのっ!......と、いう訳なので、

光太郎君!ささっとあたしのお尻を触って、この火傷を治してくれたまえよっ!」


光太郎の説明を聞き終わる間もなく、芽々はそんな恥ずかしさなんぞ知るかと

鼻息を荒くしながら、光太郎にこっちゃ来い、そして回復魔法(ヒール)をかけてくれと

自分のいる場所に手招きをして呼び寄せる。


だがしかし、


「そ、そう言われてもなぁ...流石に異性のお尻を触るのは......ちょっとなぁ......」


芽々から許可を得たにも関わらず、未だ光太郎は回復魔法(ヒール)をかける事を

戸惑い躊躇してしまう。


そんな優柔不断の態度を見せる光太郎に、


「だぁぁぁあ!もうっ!!御託や屁理屈は良いから、さっさとあたしの尻を

ガバッと触れりやがれやああぁぁぁぁあぁっ!!!」


火傷の痛みと苛立ちの限界が頂点に達したのか、芽々が叫声を荒らげながら、

お尻を触れよ!(ヒールをかけろよ!)と、切羽詰まった鬼の形相で強要してくる。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] ああ・・・・・ そんな大声で叫んだら・・・・・ ざわっ、ザワッ・・・・ [一言] 更新待ち遠しく、面白可笑しく読んでます 無理せず体調に気をつけてください。
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