第百九十六話・緊急内容とは?
「おお!瞬歩のレベルが上がっているな!」
「あたしもギフトのレベルは順調に上がっているけど、通常のレベルは
全然上がっていないな...」
「ボクは逆で......ギフトのレベルがあんまり...上がってない......チッ!」
光太郎達が自分達のステータスを見て、どこが成長して、どこが成長して
いないか、そのチェックをしていると、
「たたた、大変です、カルード様ぁああ~~~っ!」
突如ガシャガシャと金属音を響かせ、光太郎達のいるグラウンドに
誰かが近づいてきた。
「どうしたんだ?そんなに慌てて、騎士らしくないぞ!」
「ス、スイマセン、カルード様!」
ドタドタと大きな足音を金属音と共に響かせ走ってくる騎士に、
カルードが騎士らしくないと軽く注意すると、駆け寄ってきた騎士は
それに謝りつつも、
「で、ですが、こうなってしまう緊急事態が発生したんですよぉおっ!」
大慌ての口調で、カルードにそう発してくる。
「き、緊急事態だと?一体何が緊急事態なのだ?」
「は、はい!じ、実は...ゴニョゴニョ......」
騎士がカルードの耳元に口を持っていくと、小さな声で緊急事態の
詳しい内容を話していく。
「な、なんだと!?そ、それは本当なのかっ!?」
「は、はい!ですので、トーヴァス陛下が王の間まで火急に来られ
たしとの事です!」
「トーヴァス陛下が......あい、わかった。陛下には直ぐに参りますと
お伝えしてくれ!」
「ははっ!」
カルードの命に騎士が頭を深く下げると、カルードの言付けを伝えるべく、
再び金属音をガチャガチャと響かせながら王の間へと向かう。
「そういうわけですので、光太郎様。芽々様。久美様。私はここで失礼を
させて頂きますね。あ!それから、もしかするとしばらくの間、私ごとで
特訓には来られないかもしれませんが、ちゃんと私の代わりの指導者を
至急用意しておきますので、そこは安心して下さい!では勇者の皆さま方、
ご機嫌ようっ!」
カルードが勇者三人へ事情を矢継ぎ早に説明すると、深々といち礼をし、
そしてその場を急ぎ去って行った。
「き、緊急って何なんだろうね?あのカルードさんが珍しく動揺してた
みたいだけど?」
「ん...あんな大慌てするカルードさん......見たことない......」
「だよねぇ~。一体どんな事を知らされたんだろ?」
「さぁ......?でも......余程の事が起きたのは何となくわかる......が、
それより、いい加減離れろ......鬱陶しい.........っ!」
『焼き燃えろ......フレイム・ランサーッ!!』
「のわぁ!ちょ、久美ちゃん!?いきなり魔法を発動させ―――あぎゃ!?」
いつまで経っても自分を離さない芽々に、苛立ちが最頂点に昇った久美が
問答無用の炎魔法...フレイム・ランサーを発動させ、芽々に目掛けて発射した!
「おお、お尻に!?お尻に火が着いたあぁぁあぁぁあ―――――――っ!?
あちあちあちちちちぃぃぃい――――――――っっ!!」
久美の放ったフレイム・ランサーが芽々のお尻に直撃すると、お尻全体に炎が
大きく燃え広がり、それを消そうと、芽々が必死な表情でお尻をパタパタと
懸命に叩く。




