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第百九十四話・その頃、他の勇者達は?



―――ここはギガン城。



その外庭の東側にある大きなグラウンドにて、とある少年と少女二人が

戦闘の特訓に明け暮れていた。


「はぁああっ!」


「とりぁぁぁぁあっ!」


爽やかなイケメンフェイスを険しく変え、剣で切り込む少年...九条院光太郎(くじょういんこうたろう)と、

ポニーテールをパタパタと靡かせる、元気っこ少女の大野芽々(おおのめめ)が両手に

装着させたナックルでギガン城の騎士隊長に向けて突撃して行く!


「おお。中々の素早い攻撃ですよ、お二人とも!ですが...はっ!とおっ!」


「うわ!?」


「きゃっ!?」


しかし騎士隊長は、そんな二人の攻撃を身を軽く動かしてヒラリと回避する。


「ん......スキあり!」


『......切り裂け、アイス・カッター......ッ!』


自分に背中を見せる騎士隊長の隙を狙い、口数の少ないもうひとりの少女、

雨咲久美(あめさきくみ)が氷魔法...アイス・カッターを詠唱して氷の刃を発射する!


「ほほう!これは良い角度からの攻撃ですねぇ......ですが、少々間が遅い!」


『ハア!二段斬りッ!』


久美のアイス・カッターに素早く反応する騎士隊長は、ギフト技...二段斬りを

発動させると、自分に目掛けて勢いよく飛んでくる氷の刃を三つに斬り刻む!


「チ......惜しい」


それを見た久美は、自分の魔法をあっさり斬り消した騎士団長に対して、

不満全開の舌打ちを大きく鳴らす。


「ふう...では御三方、今日の特訓はこのくらいで終わりといたしましょうか!」


「ま、まだですよ、カールドさん!あ、あたしはまだまだやれるんですけど!」


「お、オレも...いけますよ、カールドさん!」


「ん...ボクもいける......!」


今日の修行を終えようと剣を仕舞う騎士隊長のカールドに、勇者三人が

疲れを見せつつも、特訓をしてくれと意気込みを見せてくるが、


「皆さんの意気込みは大いに買いますが、過度の修行はかえって

修得を遅らせてしまう結果となりうるでしょう。ですので身体に負担を

かけず、キッチリと休める時には休めておく...これもまた修行には

必要不可欠な事なのですよ!」


カールドは特訓は根を詰めないくらいが丁度いいと勇者三人を窘める。


「うぐ、正論だね......わかりましたよ、やめますよぉ~だっ!」


「オレも了解です。カールドさんの言うことは正しいですね。なので

オレも今日はここまでにしておきます!」


「......勝ち逃げされた、悔しい...!」


カールドの窘めに対し、勇者三人はしぶしぶとだが納得をして戦闘体勢と

緊張感を解いていく。


「ちぇ、今日も結局カールドさんに一撃も入れられなかったな!うう~

くやしいぃ~っ!」


「しかしここまで手が出せないとは、流石はギガン城随一の騎士様ですね、

カールドさん。その強さに感服します!」


「でもボクらの向上とヤル気の為......少し接待を覚えろ......とは思う......」


そして光太郎達が地面に腰をおいてひと息つくと、今日の特訓成果の

反省と愚痴を次々とこぼしていく。


「あはは...接待は勘弁ですね。皆さんには少しでも早くお強くなられて

欲しいですから♪」


そんなみんなからの不満を、カールドはにこやかな笑顔で軽くかわす。


「しかしあたし達って、ちょっとは強くなっているのかな?」


「そうだな...レベルを見るに、多少は強くなったと自負はしたいけど、

残念ながらあのおじさんの見せた強さの片鱗に、全く辿り着いてないと

いうのが現状かな?」


「うん。あのおじさん......強過ぎ......ちょっと引く」


「あはは♪そうだよねえ~。あの時この城にいた殆どの兵士や騎士、

そして神官達がものの見事におっさんからボッコボコにされて半殺し

状態だったんもんねぇ~♪」


芽々は無様にやられていた城の連中の光景を思い出すと、ケラケラと

笑いをこぼす。


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