第百九十一話・地道に長い作業工程
「............せ、成功したのか?見た目は何となく薬草っぽい、
それだけど?」
錬金術が上手く成功したのか?
はたまた、それとも失敗してしまったのか?
俺はそれを確認するべく、ギフト技...『鑑定』を発動させ、目の前にある
薬草っぽいアイテムを鑑定してみる。
【薬草】
効果...HPを少し回復する。
「うっしゃ!どうやら錬金術は成功したみたいだな!そ、それじゃあ、
もう一個、同じのを......っと!」
俺はさっきと同じ工程で、もう一個の薬草を作っていく。
「おっし、ちゃんと出来ているな。うん、順調順調♪」
では次の錬金、行ってみますかっ!
俺は右側と左側に先程作った薬草二つを並べると、再び錬金術を
発動させる。
「よし、出来た.........ん?」
あ、あれ?
なんか、薬草とあんまり見た目が変わってないような?
「と、取り敢えず、鑑定してみるか......」
どれどれ?
俺は鑑定を発動させて、出来上がったアイテムの鑑定してみる。
【薬草・改】
効果...薬草より10パーセントHP回復量が多い。
「おお!薬草の後ろに『改』って付いてるじゃん!」
そ、それじゃ、こいつをもうひとつ作って......っと。
俺はもう一回、薬草同士を組み合わせて薬草・改を作り、そして次に
その薬草・改同士を錬金術にて組み合わせていく。
「ど、どうだ?見た感じ、完全に別物みたいだけども?」
『......鑑定!』
俺は恐る恐ると鑑定を発動させ、その完成したアイテムを見定める。
【光極草】
効果...パーティメンバーのHPを30パーセント回復できる。
おお!今度の効果は、パーティメンバー全員を回復かぁ~!
いいじゃん、いいじゃん!回復効果が順調に上がってるぞ!
「よ、よし!そんじゃ...次はこいつとこいつの組み合わせを......っと!」
アイテム効果が順調にあがっていく興奮を何とか抑えると、俺は再び
最初から同じ手順を踏んで、もう一個の光極草を作りあげると、先程同様に
二つを錬金術にて組み合わせていく。
...............。
う~ん?
見た目はあんま光極草と変わっていないな?
「まぁいい。と、取り敢えず、鑑定だ!鑑定っ!」
【光極草・改】
効果...パーティメンバーのHPを50パーセント回復できる。
「おお、これにも改の文字が!」
そ、それにとうとうHPの半分を回復できる量に達したぞ!
「じ、じゃあ...これを繰り返していけば、最後に行き着く先は、
完全回復のアイテムができるんじゃねっ!?」
そう直感した瞬間、俺のテンションがさっきよりもバンッと上がっていく。
「だけど、これ。良く考えてみたら、錬金手順が進むに連れて、アイテムを
錬金して作っていくのが面倒くさくなってくるんじゃ......?」
だって今作ろうとしている『光極草・改』も、
薬草の素材+薬草の素材→薬草。
薬草の素材+薬草の素材→薬草。
この工程で作り上げた薬草と薬草を更に錬金して『薬草・改』を
作り上げ、
そして次に、また同じ工程で、
薬草の素材+薬草の素材→薬草。
薬草の素材+薬草の素材→薬草。
薬草を二つを錬金で作り、再び錬金で『薬草・改』をもう一個
作り上げる。
そしてこの二つを錬金して『光極草・改』の素材...光極草ができ上がる。
それから、この作業工程をいちからやり直し、『光極草・改』のもう
ひとつの素材...光極草を再び作らなければいけない。
そして、その光極草と光極草を錬金して、やっと目的の『光極草・改』が
完成する。
『光極草・改』の作業工程で、ここまでかかってしまうんだぞ。
この先を錬金していくとなると、この作業工程がドンドン伸びて
いくって事だろう?
.........うん。
これはハッキリいって、面倒くさいこと、この上無しだなっ!
俺はこの先の錬金...作業工程の事を考えたその瞬間、
頭が軽く目眩に見舞われてしまい、先程のテンションはどこに
行ったんだといわんばかりに、心と神経がげんなりしてくる。




