第十九話・歳の違い
「ふう、ヒドイ目にあったぜ......」
「たはは...ゴメン、ゴメン。この姿での力加減がいまいち掴めてなくってさあ♪」
ルコールが苦笑しながら頭をポリポリと掻いて、気絶から回復した俺に対し、言い訳な苦しい謝罪をしてくる。
「それで殺されかけりゃ世話ないわっ!」
.....ったく、まぁいい。
「それよりも宝を貰うっていう目的も済んだ事だし、さっさとここから脱出するとしようか!」
そろそろ、この目に青空を焼きつけてやりたいしな。
「...という訳なので、外に出る為の道案内をよろしむ頼んだぞ、ルコール!」
俺がルコールにそう声を掛けると、
「オッケー、任せてレンヤ! それじゃ早速、お外へとレッツラゴ~~♪」
ルコールはニコッとした笑顔を浮かべてサムズアップをビシッと決めると、部屋の門に向かって猛ダッシュでスタタと駆けて行く。
「ちょっ!? パーティリーダーの俺を置いていくんじゃねぇ~~っ!」
俺を置いてきぼりしてさっさと先に駆けて行くルコールの後を慌てて追い駆けて行き、この洞窟の出口へと向かう。
―――それから数十分後。
「お~い、レンヤ~! あそこの先に見えるT路地を右に抜け、三つ目の左を曲ってそのまま真っ直ぐに通路を抜けると、その先に外へ出る為の出口が見えてくるよ~♪」
お日様の様な笑顔でルコールがレンヤに手を大きく振りながらそう述べると、再び猛ダッシュで出口のある通路へと駆けて行く。
「ハァハァ...ち、ちょっと待ってくれぇ...ぇ...マ、マジで待ってくれって! は...速い......ハァ...ハァ...い、移動速...度が...は、速過ぎる...ってぇぇえ! お、おっさんと若者の走るスピードを...い、一緒にする...な......ハァハァ」
衰える事のないスピードで出口に駆けて行くルコールに、体力の限界を完全に越えた俺は右~左~とフラフラな動きで愚痴と文句をこぼす。
あ、あの部屋から...ハァハァ...ど、どれだけ...ハァ...は、走ってきたと...ハァハァ...お、思って...いるんだ.......っ!
さ、三十分だぞ! 三十分っ!!
「ハァァァアアッ! もう、限界だあぁぁぁあああっ!!」
俺は腕に装備していた時計を見て通過した時間を確認すると、吐き気にも似た溜め息が思いっきり口から洩れる。
そして地面に倒れる様に腰を落として休憩する。
「ったく~レンヤはだらしないなぁ~! 大体、歳で言うんなら、あたしは今年で五百十六歳だからレンヤより圧倒的に年上なんだからねっ!」
「はあ!! お前、ご、五百十六歳のババァの癖にそんな乙女チックな格好をしてんの? うわ~めっちゃ恥ず――――ウギャッ!!?」
ルコールの歳を聞き、その年齢で着るには少々キツイんじゃという服装に対して苦笑をこぼすレンヤに、ルコールが眉をヒクヒクさせながら大きくジャンプし、レンヤの土手っ腹に目掛けてドロップキックを炸裂させる。
「女性の歳やファッションを笑うなんて失礼極まりないぞ、レンヤッ! ベェェエ~~だっ!」
そして不機嫌全開の顔で、ルコールは俺に向かって思いっきりアカンベーをしてきた。
いてて...
ルコールにとって、今の発言は禁句だったか。
まぁ確かに俺もそんな歳の癖にってよく言われて、めっちゃ腹を立てていったっけ?
しかしルコールの奴め、五百歳過ぎてるっていうのにあんなにも若々しいのか。
ダァァァ! 羨ましいぃぃぃぃいっ!!
俺なんか、あいつの約二十分一の年齢でガタガタ身体なんですけどっ!!
目の前で元気いっぱいにプンプンと怒っているルコールと、疲れ果てて地面に転がり、肩でゼェーゼェーと息をしている体たらくな自分とを見比べ、悲しいまでに憐憫な気持ちに陥ってしまう俺だった。




