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第百八十七話・あの城の連中はマジで面倒くさい


「じゃあ、この人相書きって、やっぱりレンヤ......あんたなの?」


「ハァア!?こ、この爽やか王子様の風貌とニヒルワイルドな風貌の

人相書きが俺だっていうのかっ!?」


イヤイヤイヤイヤッ!?


どこを取って見ても、俺と似ている箇所がいちミリもないんですけど!?


「でもさ、依頼主がギガン城でこっちの人相描きにはレンヤって名前が

載ってんだよ?これもうかなりの確率でレンヤじゃね?」


ルコールが二つの人相書きの前に立つと、片方の人相書きにしっかりと

書かれている『レンヤ』という文字を手でパンと叩く。


「ぐぬぬ...そう言われると、確かに他人の空似だとは一概にも言えないか...」


だがしかしよ、この爽やかキラキラ王子様が俺かもしれないっていうのか?


この悪さ全開のニヒルワイルドな強面(こわもて)が俺かもしれないというのか?


か、仮に...仮にだぞ。


もしこれが俺だというのなら、これを描いたのは誰だよ!


あの城の脱出時にボコボコにした連中の誰かか?


それとも召喚時に一緒にあの場にいた勇者達か?


はたまた同じくあの召喚の場にいた王女様か?


どこのどいつがこの人相書きを描いたかは知らんけどさぁ、

全く似てなさ過ぎだろうがぁっ!


誰か否定して、描き直させろよっ!



―――ハッ!



も、もしかして俺になんて興味がなかったから、誰も俺の顔を覚えて

いないって事かっ!?


「ぐぬぬ......お、己ぇえぇえっ!いくら俺に興味が全然なかった

からといってもさ、少しくらい俺の顔を覚えていてくれても良い

だろうがぁぁあぁぁいっ!」


俺は目の前にある二つの人相書きを睨みながら、誰も俺の顔を

覚えていない事に対し、呆れと怒りの入り混じった抗議の声を

心の底から咆哮させる。


「でもさぁ、似てない方がレンヤにとっては都合がいいんじゃないの?

だってこの人相書きを見て、これとあんたが同一人物だなんて思う奴、

誰ひとりいやしないだろうしねぇ♪」


な、なるほど......た、確かにルコールの言う通りかもな。


俺を知らない連中が、これを見て俺だと認識したり、連想したりする

なんて事は多分あり得ないだろうし。


「で、でもさ、俺がレンヤという名前と知っている者は少なからず

いる訳だし、そいつらに俺の正体がバレてしまう可能性があるんじゃ

ねぇのか?」


人相書きと似てないとはいえ、これには俺の名前が書いてあるからな。


一部の人間...ギルマスやミュミュ達にはさっきも言ったが俺の名前は

知られている訳だし、この人相書きの事を知ったら、流石にあれこれと

詮索されるのは確実だろう。


特に王家と繋がりのある冒険ギルド...そのトップであるギルマスには

そういった情報を王家に伝達する義務があるらしいから、多少強引に

突っ込んで聞いてきそうだし。


幸い、似てない人相書きだから、同姓同名の他人だと否定しておけば、

しばらくの間は誤魔化しも効くとは思うけど...


だけど、それも束の間の間だけだろう。


「やれやれ...参ったな、これは。もしバレてしまった場合の想定と

行動を今から考えておかないといけないか......ハァ~面倒だな......」


俺は困惑した表情で頬をポリポリと描くと、あの城の連中にはトコトン

振り回されるなと、深い嘆息を思いっきり吐く。


「あはは♪レンヤってば、今からもう対策を考えるつもりなの?ホント、

心配性なんだからぁ~♪」


「当たり前だろうが!あの城の連中と関わるとロクな事がないのは、

召喚されたと同時に先刻承知なんだからっ!」


他人ごとだと思ってケラケラと笑ってくるルコールに、俺は眉をピク

ピクとさせながら、激おこ口調で抗議の言葉を口にする。


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