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第百八十六話・似ていない人相書き


「しかし金貨百枚ねぇ。こいつら、一体なにをやらかしたんだよ?報償金と

して出す金額にしては、ちと多過ぎな金額じゃないか、金貨百枚って?」


「そうだよねぇ~どこの貴族に喧嘩を売ったんだろう、こいつらって?」


ルコールはそう言うと、人相書きに書かれている依頼者のサインのある

箇所に目を移す。


「ああ!こ、これは!?ねぇ、ねぇ、ちょっと見てみてなよ、レンヤ!

こいつらを探している依頼主の書いてある欄をさ!」


「依頼者の書かれている?どれどれ...............」



―――な!?



何いぃぃいぃい――――っ!?



ギギギ、ギガン城だとぉぉぉおぉぉお――――――っ!?



ルコールに言われた通り、俺は人相書きの左下付近に書かれている依頼者を

見てみると、そこには『ギガン城』...そうハッキリと書かれていた。


「そそ、それじゃ、何か!?も、もしかしてこの報償金をかけられている

人物って、おお、俺なのっ!?」


俺はギガン城という文字の記入されている部分を凝視しながら、もしも

ギガン城からの依頼だとしたら、この人相書きは俺かとしれないじゃんと

青ざめてしまう。


「あたしもさ、そう思って二つの人相書きを改めてもう一回見てみたんだけ

どさ、でもどこをどう見ても、これレンヤとはちっとも似てないよね?

だからさ、この人相書きはレンヤとは完全に別人じゃないかな?」


「ホ、ホントか、ルコール!?」


俺もルコール同様、改めて二つの人相書きを詳しく見てみた。


「..................」


ああ。確かにルコールの言う通りだな。


これ絶対に俺じゃない。


だって...


左側の人相書きは、歯がキランッと輝くのが似合いそうな、いかもに

爽やかな王子様って感じの人物がキラキラタッチの画風で描かれており、


そんでもって右の人相書きは人相書きで、口角をニヤリと上げたニヒルで

ワイルドな顔立ちをした渋過ぎる人物が劇画風のタッチにて描かれていた。


うん...これらを俺だと言うには、かなり無理がある。


「で、でも良かったぜ。あの城からの依頼っていうから、てっきり俺の事かと

思って、めっちゃくちゃ焦ってしまったよ。でもどうやらそれも杞憂だったな♪」


俺は目の前の自分と全く似てない二つの人相書き...キラキラタッチの王子様の

人相書きと、ニヒルでワイルドな劇画タッチのを見ながらニガ笑いをこぼすも、

自分とは違うという心からの安堵から、胸を撫で下ろしひと安心していると...


「おっと、いかん、いかん。こっちの人相書きにこいつを張りつけるのを

スッキリと忘れておったわい!」


中央広場の外からドタドタと音を鳴らし、先程の中年小太り貴族が汗を

散らしながら中央広場に戻ってきて、右側の看板の人相書きにペタッと

何かを張り付けた。


「うっし、これで...良しっと!危なかった、もう少しでリコット王女様と

アリア様から説教を食らう所だったわい!では皆の衆、改めて頼んだぞい!」


誰かの名前が書かれた紙を人相書きに張り終えると、小太りの貴族は

またドタドタと足音を立ててながら中央広場から離れていった。


「あの小太りのおっさん。あんなに慌てちゃって、一体なにを看板に張り

つけていったんだろうね?」


ルコールが小太り貴族が張り付けていった物を確かめる為、看板へと

近づいていく。


「ん?どうやらこれは、名前のみたいだね?えっと、どれどれ?ふむ、

ふむ.........レ...ン......ヤ?ああぁぁっ!?ここ、これ!?レ、レンヤって

書いてあるじゃんかぁあっ!?」



「な、なんですとおぉぉおおぉぉお―――――っ!!?」



ルコールの発した言葉に対し、俺は嘘だろうと言わんばかりの喫驚なる

叫声を天に向かって思いっきり咆哮してしまう。


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