第百七十七話・キャンセル
う、嘘だろぉぉぉおぉいっ!?
まま、また魔法擬人化を召喚したというのかぁぁぁああっ!?
「おいおい、どういう事だよ!あいつまた魔法擬人を召喚しちまったぞっ!?」
「れれ、0.00001ですよ!?0.00001っ!?そんな奇跡の確率がまた起きたと
いうんですかぁあっ!?」
再び起きた魔法の擬人化の召喚に、俺とギルマス、そしてサオリナさんの
三人が目を丸くして、ポカーンッと口を開けてビックリを隠せないでいた。
な、なんでだよ!?
宝くじは勿論のこと、一等なんて、今の今までただの一度も当てた事が
ないんだぞっ!
いくら魔法擬人化の召喚が超レアだとしても、俺は魔法を覚えたいんだよ!
魔法を撃ってみたいんだよおぉぉぉおっ!!
俺は二回目のスカシを食らい、納得がいかないと地団駄を踏んでいると、
「じぃぃぃいぃぃぃい~~~~~~っ!」
ちょ!なに、この子?
な、何で、あんなに俺の事をジロジロと見てきているの!?
「えっと、ど、どうしたのかな、キミ?そ、そんなに俺の事をジロジロと
見てきちゃって?お、俺になんか変な所でもあるのかな?」
俺の身体に穴が空く程の眼光で、アイス・カッターの少女が値踏みして
くるので、俺は苦笑しつつ、やんわりと俺を見てくるその理由を聞く。
「まぁ、ぶっちゃけ変な所があるというかぁ~全変っすかねぇ~!だって
あんたってば、めっちゃくちゃ年取ったおじさんじゃないっすかぁ?
これがボクの主かって思うと......はあああぁぁ、実にガッカリ至極っす!」
俺の値踏みを終えたアイス・カッターの少女が、やれやれといった深い嘆息を
吐き、首を左右に振って肩を竦めながら、俺の問いに答えてくる。
「......っていうかさ、これ、マジでキャンセルでいいんじゃね?そういうわけで
おじさん。ボクの召喚、マジマジでキャンセルしないっすか?」
そしてアイス・カッターの少女は呆れ口調で、俺に対してそう聞いてくる。
「......え?」
ま、魔法の擬人化って、キャンセルができるの!?
さっき、ギルマス達ができないとか言ってはずなんだが......
しかしキャンセルが出来るというのならば、
俺の答えはひとつだっ!
「くふふ~♪でもでも~、おじさんがどおぉぉおぉぉ~~うしても、
キャンセルしたくないって、泣きついて頼み込んでくるんだったら~、
ま、ボクも考えなくもな―――」
「そっか!魔法擬人化の召喚って、キャンセルができるんだぁ♪だったら、
キャンセルの方向で是非お願いしますっ!」
「―――え!?」
「い、いや...だ、だからさ。キミのキャンセルをお願いしますって言ったの!
キミだって、その方がいいんだろう?だ、だからさ、キャンセ............って、
ちょっと、キミィィッ!?とと、突然どうしたのぉぉおっ!?」
俺は聞き返してくるアイス・カッターの少女に、再度キャンセルをと口にした
その瞬間、アイス・カッターの少女の両の瞳から滝のような勢いで涙がダバッと
溢れ出してきた。




