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第百七十六話・デジャヴゥ


「...と、いうわけなので、フレイ。お前の試し撃ちはまた次の機会だ!」


「う。残念至極。折角我の力、主に見せつけたかったのに......」


フレイが頭をガクッと項垂れさせて、無念とばかりにガッカリするが、

素直にレンヤの言葉を聞き入れ、後ろに下がって行く。


フレイが戦闘体勢を解いたのを確認したギルマスは、


「えっと...確かもうひとつの試したい魔法はアイス・カッター...だったよな?

なら標的(まと)はそのままでいいか。それじゃ、レンヤ。さっきも言ったが、

俺達が離れてから魔法は放てよ、いきなりはマジでやめろよ!」


同じカッター系なので、標的はこのままでいくとレンヤに告げると、ギルマスは

サオリナとルコールと共に、グラウンドの外へと移動して離れて行った。




「よ~し、レンヤ!いつでもいいぞぉ~!」


「了解!」


ギルマスのオッケーの合図を確認した俺は、両腕をグルグルと回しながら、

標的の前に移動する。


「うっし!さっきは出鼻を挫かれて失敗してしまったが、今度こそ正真正銘の

試し撃ちだぜっ!」


「し、失敗!?正真正銘!?ううう、うう......」


俺の心無い(うっかり)発言に、フレイがガーンッと頭上に浮かんでるような表情を

見せた後、目尻に大粒の涙がドンドン溜まっていく。


「――はう!?」


それに気づいた俺は、


「ま、間違えた!言葉をつい間違えちゃったよ!」


「ぐす......ほ、本当か、主?」


「ホ、ホント、ホント!あは、あははは~~♪」


微笑み全開の表情をフレイに向けて、さっきの言葉はあやだったと、

フレイの頭をワシャワシャと撫でながら懸命に誤魔化す。


「あ、あいつ、マジで学習しないよな......」


ギルマスがレンヤの繰り返す何度の失敗にジト目をして呆れてしまうと

横にいたルコールが「そりゃ、レンヤだもん♪」と述べ、ニヤニヤと笑う。


「コ、コホン!では気を取り直して、アイス・カッターを撃つぞぉぉっ!」


軽く咳払いをして悄然した気持ちを切り替えた俺は、改めてアイス・カッターの

試し撃ちの準備へと入る。



『ハアァァァ!食らえぇぇっ!アイス・カッタァァァッ!』



そして俺は、標的の前に両手をバッと突き出すと、アイス・カッターを

詠唱して発動させる!


すると突き出した俺の両手前に、キラキラと輝きを放つ氷の粒子がドンドンと

集まり出し、氷の球体を精製していく。



「――へっ!?」



きゅ、球体......だと!?


何か、デジャヴゥを感じるんですけどっ!?


「なぁ...ルコールさん。つ、つかぬことをまた聞いちゃうけどさ、その...

アイス・カッターってこんな球体の技なのかな?アイス・カッターっていう

くらいだから、氷の刃じゃないのかな?」


ドンドン大きくなっていく氷の球体によそに、俺は先程ルコールにした質問と

似た質問を再び問いかけると、


「う、うん...アイス・カッターもフレイム・カッターと同じく、弧状の刃を

撃ち出す技のはずなんだけど?」


俺と同様、目を大きく見開いたルコールが、「これはどういう?」という

目をしていた。


やっぱ、そうなのかぁ...


ルコールと会話している間も、目の前の氷の球体はドンドン大きくなっていき、

そして俺と同じくらいの大きさになった瞬間、氷の球体は目映い光を放ち、

辺り一面を銀世界...キラキラと氷の粒が輝く景色へと変えて行く。


それから数秒間、その景色が続いた後、銀世界の景色はパッと一瞬で消えて

なくなった!


うひゃあああ!


こ、これ、さっきと一緒じゃん!?


か、完璧に同じじゃんっ!?


じゃ、じゃあ、この後に待つ展開は......


俺は大慌てして消えて無くなった氷の球体のあった場所へと急ぎ目線を

移動する。


すると、そこには...



「こんちゃ~っす♪」



クリスタルの様にキラキラした瞳に、銀色に輝く髪をポニーテールに

束ねた、身の丈以上はある氷色の大きな剣を背中に装備した、フレイと

少し似た風貌の少女が立っており、俺と目線の合ったと同時にその少女は

チャラいポーズでチャラい挨拶をしてきた。


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