第百七十話・観察眼
「えええぇぇぇっ!?ちょっと、ル、ルコールさん!?何で買っちゃったの!?
さっきの進言は一体なんだったんでしょうかねっ!」
俺を無視してギフト・スクロールを買ってしまったルコールに、俺は目を大きく
見開いて喫驚し、愚痴の入った抗議をこぼしていると、ルコールは手に入れた
ギフト・スクロールをマジックポーチにしまい込みながら「いいのよ。だって、
これ本物だし!」と述べてくる。
なので俺は「はあ!?ほ、本物?な、なんでそんな事がわかるんだよ?」と、
ルコールに問うと、
「それはあたしが『観察眼』っていうギフト、どんなアイテムも人物も
識別ができるギフトを持ってるからよ♪」と、答えてくるので、
俺は「なるほど、さよですか...」と至極納得した。
因みに俺の『識別』レベルでは、超レア級のアイテムや素材を識別する事は
まだ出来ない。
そういう事で心から熱望していたアイテム、
ギフト技を取得する事ができるというアイテム、【ギフト・スクロール】を
見事二つもゲットした俺は、ホクホク顔にて急ぎ宿屋に帰路した後、
空いたお腹を満たす為、ルコールと共に軽い食事を取る。
そしてそれから数時間が経った深夜。
「ぐふふふ...俺は手に入れた!ついにこいつを手に入れたのだぁぁぁっ!
魔法を習得する事ができる、夢のアイテムをぉぉぉおっ!!」
俺は先程ゲットした二つのスクロールをそれぞれの両手に持つと、それを
ギュッと握り締めて絶叫の感涙を上げた。
宿に帰った後、晩御飯を食べている最中にルコールから聞いたんだが、
このギフト・スクロール、初級魔法を取得できるスクロールらしい。
「こいつさえ...こいつさえあれば、憧れの魔法が俺のモノだぁぁいっ!」
やったねっ!
まぁそのせいでオークションにて潤った路銀がかなり減っちゃったけど、
だとしても、それを十分補える価値はあるっ!
なにせ、魔法だぞ!あの魔法っ!
ファンタジー世界でやってみたいランキング上位だろうの魔法さんだぞっ!
この買いに、いちパーの悔いなしっ!!
「くくくく......魔法かぁ~~♪」
「うぐ...。そ、そのニヤケ顔、果てしなく気持ち悪いんだけど......」
「うっさい、ほっとけや!コ、コホン!では早速、魔法習得の儀をやらせて
もらうとしましょうかねぇぇぇえっ!」
俺はルコールのディスりを窘めて軽くひと息こぼすと、テンションMAXで持って
いた二つの魔法のスクロール...『フレイム・カッター』と『アイス・カッター』の
スクロールを床にバッと拡げた。
「さぁ、おいでませい、フレイム・カッタァァァッ!アイス・カッタァァァッ!」
レンヤは意気揚々と声を荒らげ、両手を広げると「さぁ魔法さんよ!俺の身体に
入って来たまえぇぃっ!」と待ち構える。
すると、フレイム・カッターとアイス・カッターのギフト・スクロールが大きく
輝き始める。
そして数秒後、その輝きはゆっくりと消えていく。
ひ、光が終わった?
「...って事は、ついに俺もこれにて魔法を使える者になったって訳か♪」
俺はこの事実に、満面の笑みを浮かべて歓喜にあふれる。
どれどれ...
俺はステータスをチェックできるアイテムを使用する。
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レンヤ・シロカワ
LV28
ジョブ【勇者】
HP【370/600】
MP【280/380】
力【A+】
防【B-】
素【B】
魔【A-】
幸【C-】
『ギフト』
『瞬歩』...LV3
『気合い』...LV2
『採取察知』...LV3
『識別』...LV2
『フレイム・カッター』
『アイス・カッター』
『レアギフト』
『怒髪天』LV...2
『アイテムボックス』
『超・成長』
『錬金』LV...1
『絶対ドロップ』LV...3
『状態耐性』
毒【D】痺【D】石【D】
幻【D】魅【D】即【D】
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「おお!ギフトの欄に『フレイム・カッター』と『アイス・カッター』って
記載されている!」
「じゃあ、無事にちゃんと魔法を習得する事ができたんだ。おめっとさん、
レンヤ。良かったじゃん♪」
「おうよ!」
ルコールの賛辞に俺はバッと前に右手を突き出し、サムズアップを見せる。




