第百六十五話・オークションランク
それから数十分後。
「お待たせしました、レンヤ様!では先程お預かりしていた
ギルドカードをお返ししますね!」
応接室に戻ってきたミュミュが俺にそう言うと、さっき預けていた
ギルドカードを俺に返してくる。
「ではオークションが完了した後のご説明をしますね。こほん!まずは
先程お返ししましたギルドカードを裏返してみて下さい、レンヤ様」
ミュミュにそう言われた俺は「わかった」とギルドカードをくるりと
裏返してみる。
「ギルドカードの裏面に『オークションランク』と書かれている欄が
あるのがわかりますか?」
「えっと......あ、これかな?うん、確かに『オークションランク』って
書いてある欄があるね。これはどういう意味なんだい?」
俺はミュミュの指示する箇所を見て、それが記入されているのを確認すると、
これって何とミュミュに聞いてみた。
「それはですね、オークションを行った者に対する『評価』です!」
「評価?」
「はい。その評価というのは、オークションに出品したアイテムの信用
ランクが表示されます。そのランクが多い程、のちに再びオークションに
アイテムを出品した場合、このランクが高い程良い値で落札されやすく
なります。因みに一番上のランクはS、下のランクはGです。レンヤ様の
評価は竜の素材を相手側に送った後、ギルドカードチェック時にて
その評価がつく事となります」
なるほど...所謂、出品した物に対する信用度ってわけね。
「でもレンヤ様の出品物は良質な竜の素材ですので、きっと高い評価が
期待されますよ♪」
う~ん、竜の素材と言っても、正確にはただのゴミなんだけどね。
でも金貨三千枚なんて価値がついた訳だし、もうただのゴミとは言えないか。
「コホン!それでは、お待ちかねの落札金ですが...金貨三千枚から六百枚を
抜いた二千と四百枚です。恐縮ですが、金貨六百枚...二割は私の手取りとして
頂かせて貰っていますので。すいません、レンヤ様!」
「何を言ってるんだい?オークションルールに乗っ取った報酬だろ?なら、
そんな遠慮顔をしないでいいんだよ、ミュミュ!」
申し訳ない顔をしているミュミュに、俺はそう述べて軽く窘める。
「あ、ありがとうございます、レンヤ様!それでは、こちらの左にある
皮袋二つに千枚ずつ、そして右の二つの皮袋にはそれぞれ三百枚の金貨が
入っております。袋にちゃんと枚数分が入っているか、それぞれのチェックを
お願いできますか?」
と、言ってくるので、
「あはは♪前も言ったけど、俺はミュミュを信用してから数えなくても
大丈夫だよ♪」
前回同様の言葉を、ミュミュに告げる。
―――ハッ!?
も、もしかして前に疑ったように、ギルマスの奴がチェックしたんじゃ?
俺の頭の中にそんなおぞましい予感が過ると...
「おい、レンヤ!お前、今回も俺が数えたんじゃ...とか思っただろっ!」
「はぎゃ!ギルマスッ!?ビックリするから、いきなり後ろに立つなよ!
そんな恐面ハゲが近寄ってきたら、ショックで心臓がとまっちまうだろうが!」
俺がビックリして鼓動を早めている心臓...左胸を抑え、軽くギルマスに注意する。
「きょ、恐面ハゲって...ヒドイぞ、お前。確かに素で喋ってくれとは言ったがよ、
ちょっとばっかり毒を吐き過ぎじゃねぇのか?これでも俺、一応ギルドマスター
なんだぞ?」
一切、控えて言葉を吐かないレンヤに対し、ギルマスが不満不平をぶつぶつと
洩らす。
「ったく...まぁいい。そこの金貨はクエスト同様、ちゃんとミュミュが数えて
いるから心配するな。そういうのは、大体が担当の受付嬢が数えてチェックを
するってのが、ギルドの決まりごとだからよ!」
「おお!そっか、それなら安心だな!」
そう言うと俺は金貨の入った三つ皮袋の縄をキュッとしめる。




