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第百六十三話・貴族の我が儘、ここでも発動する


「ああ。何とかな。だけど、ちょっとばかり気になった事があるんだが、

そいつを質問してもいいか?」


「おう、勿論いいぜ。で、どんな事が気になっているんだ?」


「オークションによる、アイテムと落札金を交換するやり取りするに

当たって、それにかかる往復期間は一体どれくらいかかるんだ?

オークション会場って多分ここからかなり遠いんだろう?だったらさ、

アイテムや落札したお金を運ぶ為の日数が、めちゃくちゃかかって

しまうんじゃねぇのか?」


だって俺の世界とは違い、この世界って通行手段が乏しそうだしな。


あ、例外もあるか。


俺はルコールにより、空を飛んでここまできた事をふと思い出す。


「それと、もうひとつ。それに伴う運送代や手数料の方はどうなって

いるんだ?オークション会場が遠いなら、結構な金額になっちまうん

じゃねぇのか?」


「ふむ、ふむ。交換にかかる往復期間と運送代や手数料か。それは心配

ご無用だから安心しろ。そこら辺のシステムはちゃんとしているからよ。

オークションに出品したアイテムや落札金はな、あそこに見える部屋の

奥にある【転送機】からオークションを行っている運営場所に直接転送で

送るから、日数は当然のこと、運賃代や手数料も一切掛からないんだよ!」


ギルマスが少し奥にある部屋を指を差しながら、レンヤの疑問に答える。


て、転送機!?


転送機というんだから、一瞬で行き来できるあれ......だよな?


おお、やっぱりそういうのあるんだ!


しかし転送って...お、俺の世界より遥かに発展した技術じゃんか!?


さっき乏しいとか言っちゃったのが、何かとっても恥ずかしいんですけど!


「へ、へぇ...お金やアイテムを転送ねぇ。い、意外としっかりしたシステムが

あるんだな、オークションって!」


俺は気恥ずかしい気持ちを誤魔化す様に、システムへの感想を述べると、


「そりゃ、冒険者が相手だしな。特に貴族とのいざこざが起きない様に

しっかりとしたシステムを作って置かなきゃ、後々がクソ面倒だろ?...って、

まぁ実際、そのクソ面倒が起きたからそこのシステムではあるんだがな......」


ギルマスが苛立ちと疲れ、そして不快感全開の見え隠れする表情にて

俺の言葉にそう返す。


ああ、このギルマスの表情...


あれを見るに、やっぱり貴族のワガママが発動しやがったんだな。


平民なんだから高貴な貴族様に無料でアイテムをよこせだの、寧ろ喜んで

進呈しろだのとか、ぬかされたり...


はたまた、落札したアイテムを渡す段になって、急に金が惜しくなった貴族が、

貴族の特権を傘に着て難癖をつけ、強引にアイテムを巻き上げようとしたとか...


大体、そんな所か。


だけど冒険者が命懸けで取ってきたアイテムを出品するんだ。


それなのに貴族だからというくっだらない理由で、それをタダでくれて

やるなんて、ある訳がないよな。


「......まぁそんなわけで、後に王家が定めた法に則ってオークションは

現在のシステムへと生まれ変わったのさ!それまではホント、厄介この上が

なかったぜ、あの貴族様って連中はよぉっ!」


へぇ。王家が今のオークションの法を作ったのか。


だったら、したっぱの貴族の特権なんぞ、通じるわけもないか。


もし王家の定めたルールに貴族の特権なんぞ使おうものなら、

後は言わずもがなだしな。


「あはは...しっかし、ギルマス。お前のその露骨な嫌悪感いっぱいの表情を

見るに、そのシステムが出来るまでは、本当に色々大変だったみたいだな?」


「大変では済まないくらいの色々があったんだよ!あともう少しギルドの

対応が遅れていたら、冒険者の連中と貴族達の間でちょっとした暴走...

いいや、戦争が起きそうになったかもだったんだからなぁっ!」


「せ、戦争!?そ、そこまで拗れたのか!?」


その時を思い出したのか、さっきよりやつれていた表情に変わっている

ギルマスを見て、レンヤは「心中御察するぜ、ギルマス」と、同情して

しまうのだった。


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