第百六十一話・オークション結果
ギルマスの粋な計らいで行く事となったギルマス御用達の隠れ家こと、
居酒屋だったが、突如乗り込んできたルコールにて酒に酔う事もなく
強制的に退散をさせられてしまう。
そして次の日、
俺は二日酔いに襲われることもなく、今日も今日とてのんびり冒険の
路銀を稼ぐ為、新たなクエストを求めて冒険ギルドへと足を運んでいた。
「ああ!レンヤ様じゃないですかぁ~!丁度良かったです~~っ!」
ギルドの中に入ってきたレンヤを見つけたミュミュが、愛用の眼鏡を
キラリンと光輝かせると、受付テーブルから身を乗り出す勢いでレンヤに
話しかけてくる。
「......ん?何が丁度良かったんだい、ミュミュ?」
それに気づいた俺はミュミュのいる方角に顔を向け、一体何用だろうと
思いつつ、ミュミュのいるテーブル前へと歩き近づいて行く。
「えっと、それはですね。数日前にレンヤ様の出品をなされた竜の素材、
そのオークションの結果が今しがた出たんですよ!」
俺がテーブルの前に近づくと、満面な笑みを浮かべたミュミュが数日前に
オークションに出品していた竜の素材の結果報告を伝えてくる。
「ほへぇ、あんなゴ......コホン!竜の素材に買い手がついたんだ?」
「おい、ちょっと待てや、こら!ゴ...なによ!あんた、もしかして今
ゴミとか言いそうにならなかったっ?」
レンヤのゴミ発言に過剰反応を示すルコールがバッとレンヤに詰め寄ると、
眉をしかめながらジロリと睨んでくる。
なのでレンヤは、
「あはは♪な、何を言うんだい、ルコールさん。気のせいだって、気のせい♪」
...と、ニガ笑いを浮かべながら誤魔化す。
「そ、それでミュミュ?竜の素材は一体どれくらいで競り落とされたの?」
これ以上ルコールから深く突っ込まれない内に、オークションの結果が
どうだったのか、それをミュミュに問う。
「ふふふ...それがですね、レンヤ様!競り合いが最終日に一気に加速し、
最終金額はなんと、金貨三千枚の値で落札されたんですよ!」
レンヤの問いに対し、ミュミュが人差し指で眼鏡をクイッと上げて口角を
ニヤリと上げると、竜の素材のオークション結果が凄く良好だったと
ニコニコ顔で伝えてくる。
「マ、マジでかっ!?マジであんなゴミが金貨三千枚だとっ!?」
う、嘘だろ!?だ、だってあれって、只のゴミだぞっ!?
竜のって付くだけで、そこまでの値段がいくものなのかっ!?
金貨二千枚で落札されたという予想を越えたオークションの結果に、
俺は冗談だろ表情で目を大きく見開いて驚いてしまう。
「おい、レンヤ!いま完っっ全にゴミって言いやがったなぁぁぁっ!」
「だって仕方ないじゃないかぁ!竜の素材とか言っているけどさぁ、あれって
実の所、お前から剥がれ落ちたり、抜け落ちた只のゴ――――ハギャア!!」
俺が冷ややかな目でルコールに図星なる愚痴をこぼしていると、不機嫌全開な
表情のルコールが俺の顔を素早くガシッと鷲掴み、最大パワーで締め上げる。
「あたしの事を長年支えてくれた、鱗や爪たちをゴミとか言うんじゃ......
ねえぇぇえぇぇえいっ!!」
そして鷲掴みにしたレンヤを、そのままグッと天井につく勢いで吊り上げる。
「いだだだたただだたたっただだたっだだぁあぁあっ!!?く、砕ける!?
そんな力で掴んだら、お、俺の頭蓋骨がぁぁあ!こ、今度こそ確実にぃぃ、
ここ、粉々に...く、砕け散ってしまうってえぇぇぇぇえっ!!」
ルコールのアイアンクローから逃れる為に、レンヤがじたばたと暴れて
必死に抵抗するが、全くどうにもならなかった。




