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第百五十四話・中年同士のジェスチャー


「うう、いたたたたぁ...。あ、危うく、顔の骨が粉々に砕け散るかと

思ったぜ...」


レンヤは先程までルコールに鷲掴みにされていた顔の回りを、痛みよ

飛んでいけ~と言わんばかりに強く擦りながら愚痴をこぼす。


「あんまりルコール姉さんを心配させないで下さいよね、レンヤ(あに)さん!」


「そうですわよ、レンヤお兄様。ルコールお姉様を怒らせたら、この辺りが

一瞬で焦土と化すのですんですから!」


「あはは...わかってはいる。わかってはいるんだが、隠れ家という甘い響きに

男心がどうしても購えなかったんだよ!」


ネージュとアンナリッタの二人から苦言を差されると、レンヤが苦笑しつつ、

男の哀しいサガというものを二人に説明していく。


「それにしても、あのとき二人して一体何のジェスチャーをしているのかと

思えば、まさかここにくる為の目論見を企んでいたとはね......」


「なぁあっ!き、気づいていたのか、ルコールッ!?」


「当たり前でしょうが!中年とツルリンマッチョがあんなに気持ち悪く

クネクネ、クネクネと動いていたら、否応なしにも気づくってもんだわ!

うぐ......!お、思い出したら、身体中に寒気がしてきたわ......ううう!」


良い年をしたおっさんとおっさんが、懸命に身体をクネクネさせている姿を

思い出してしまったルコールは、背中にゾクッとくる冷たいものを感じ、

そして自分の身体をギュッと力強く抱きしめ、その身をブルブル振るわせた。


「―――はう!?き、気持ちわるい......!?」


「だ、誰がツルリンだぁぁぁあっ!何度も、ホントに何度も言うがなぁあ、

これは剃ってるだけなのっ!剃ってるだけなんだよぉぉぉぉおっ!!」


そんなルコールの愚痴に、軽くショックを受けて固ってしまうレンヤと、

さっきよりも更に顔を真っ赤にしたギルマスが、もう何回繰り返したか

わからない抗議をしてくる。



.........それから数分後。



少しの悪びれもないルコールの言葉攻撃から、レンヤとギルマスは何とか

立ち直った。






「よもやここまでアンナリッタやネージュがこいつに従うなんてな。ホント

ビックリ仰天だぜ!.........ハッ!?じゃ、じゃあよう、お前が言っていた

さっきのルコールの話はマジもんだったっていう事かっ!?」


「おい!信用していなかったのかよ!ぼれ、見てみろ!俺が今こいつに食らった

アイアンクローの威力を!この程度の技で俺は生死を彷徨(さまよ)いかけたんだぞ!」


レンヤは苦笑を浮かべながらそう言うと、顔回りに型付いているアイアンクローの

指趾をギルマスに見せ、疑いの信憑性を消す。


「はは、すまんすまん。ギルマスともなると情報を疑ってかかる癖があってな。

しかしそうなってくると、こいつはマズイ事になりそうだな......」


ギルマスが神妙な面持ちで静かにそう呟く。


俺は考え込んでいるギルマスに「何がマズイんだ、ギルマス?」とハテナ顔で

首を傾げて問う。


「ランスの件だよ、ランスの!ネージュがさっきルコールにボコられて

あいつの母親に泣きつきに帰ったとか言っていたじゃねぇかっ!」


「そう言えば、言ってたような?」


「おいおい、酔い早えなぁ!言ってたんだよ!いいか、よく聞けレンヤ!

ランスの親もまたあの野郎と同様、コテコテの俺様主義者なんだよ!自分が

一度こうだと決めたら、人の話なんぞひとつも聞きやしねぇ。そんな連中が

大好きな息子から都合の良い解釈で聞いた話を、後からいくら否定しようとも、

あんたの息子の方に非があるんだと、いくら説得しようとも、あいつらが

それを聞き入れ、自分達の非を認めると思うか?断じて否だっ!!」


ギルマスが顔を険しくしながら、唾を飛ばす勢いでランスの両親達の

クソみたいな性格を矢継ぎ早に語っていく。


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