表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
148/288

第百四十八話・おっさんの爽やか笑顔


「イヤ~でもホント、お久しぶりだよねぇ~ギルマスさん♪あ。女将さん、

はいこれ。女将さんに頼まれていた品です!」


「そしてこっちの袋が、鍛冶のダンナさんに頼んでおいた包丁です!」


シルビアとオリビアが女将の所に近づいていくと、お使いで頼まれていた

品々を女将に手渡す。


「ねぇねぇ。そういえばさ、ギルマスさん。積んドコしているとか言っていた

書類の方はもう片付けて終わったの?」


「おう、何とか...な。飲まず食わずで作業すること、一週間...あくせくと

必死に頑張り抜いて、やっと終わらせる事が出来たぜ!」


ギルマスはニガ笑いをこぼしつつ、仕事の完了を告げると、


「おお、それはおめでとうございます!」


それを聞いたシルビアは、お疲れ様とパチパチと手を叩く。


「これでしばらくは絶っ対に徹夜なんてしねぇぞぉ!......って、誓った

ばっかりだというのによぉ......ハァ」


「......ん?どったの、ギルマスさん?その目に見えてわかる落胆ぶりは?

もしかして、また書類の貯まるような厄介ごとでも舞い込んできちゃった?」


「はは...まあな。書類整理がやっと完了したって喜び勇んでいた矢先、

俺の(もと)に徹夜決定ごとの案件が再び起きやがってな......」


ハテナ顔で首を傾げているシルビアに対し、浮かない表情のギルマスが

愚痴とため息を吐いて嘆きをこぼす。


「わお!そ、それはなんと言いますか、お気の毒様ですねぇ......」


余計な事を聞いちゃったとシルビアは苦笑を洩らし、ギルマスを慰める。


「あはは♪心中お察しするぜ、ギルマス!まぁ、しっかり頑張りたまえ♪」


そんな悄然した姿を見せるギルマスの肩を、レンヤが軽く数回パンパンと

叩くと、屈託ない笑顔を浮かべ、ギルマスを激励してくる。


「ぐぬぬ...元はといえば、お前の持ってきた案件だろうがぁぁ!」


だが、この他人事の様に語るレンヤの軽い同情が堪に障ったのか、ギルマスは

眉をピクピクとさせ、イラッとした顔でレンヤを睨む。


俺とギルマスがそんなやり取りをしていると、


「と、ところで、その...ギルマスさん?そ、そちらのいらっしゃる、

おじさまは一体誰なの...かな?」


俺がいる事に気づいたシルビアさんが、マジマジと俺の顔を見てきて、


「えっと...記憶にないから、多分初めまして......だよね?」


...という表情で挨拶してくるので、


「はい。その認識で合っていますよ、お嬢さん。こちらの居酒屋には、

ここに()られるハッピーさんのご厚意で連れて来てもらいました。

あ、申し遅れました、私の名前はレンヤと申します」


俺は爽やか全開の笑顔で微笑み、シルビアの疑問に丁寧な口調でこう返す。


「へぇ~レンヤさんって言うんだ。わたしはシルビア!で、そっちの子が

オリビアって名前です!」


俺から自己紹介を受けたシルビアさんは、自分達の自己紹介を返してくる。


「シルビアさんにオリビアさんですね。お二人ともとても素敵なお名前です♪

ここで会ったのも何かのご縁。見た目通りの中年ではございますが、良ければ

お見知りおきを下さると大変嬉しいです♪」


「はい!勿論ですよ!」


「こ、こちらこそよろしくお願いしますね、レンヤさん!」


レンヤから紳士的な挨拶を受けたシルビアとオリビアが、にこやかな笑顔で

頭をバッと下げると、レンヤに改めて挨拶を交わしていく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ