第百四十話・言い争うに決まってんだろうがっ!
「ガハハハッハッ!そっか、そっか...自然を大事にしているかぁ~♪それに
一度も魔石をドロップした事がないってか!それはマジで運が無いなぁ~♪」
俺の言い訳と誤魔化しが上手く成功したようで、ギルマスが俺の背中を
バンバンと強く叩くと、大声で笑いながら慰めの言葉を投げかけてくる。
「でもまぁ、そうだよなぁ。確かに魔石ってやつは、ドロップしねぇ時は
本当にドロップしねぇアイテムだからなぁ。しかしよ、レンヤ。一度も
魔石をドロップした事がないなんて、流石に運が無さ過ぎだと思うぞ♪」
「だ、だよな~。ホント、運が無いにも程があるよなぁ~あは...あはは♪」
よ、よし...!
ギルマスのこの表情を見るに、どうやら俺の嘘を疑ってはいないようだ。
ふう...あ、危なかったぁぁぁ~~~っ!!
俺は無事に誤魔化せた事に安堵で額にかいた汗を拭い、胸をホッと
撫で下ろす。
「コホン...そ、それじゃ、ギルマス。改めてその魔石とやらの詳しい
説明をしてもらってもいいか?」
俺は安堵した後、軽い咳払いをして話を切り替えると、ギルマスに
再び魔石の説明を求める。
「ああ、勿論いいぜ!さっきも説明したが、魔石って言うのは魔物が
たまにドロップする希少アイテムでな。そしてその魔石には様々なる
種類の魔石があるんだよ。で、あの店の看板に使用されているのは、
雷属性の魔物がたまに落とすドロップアイテム...【雷の魔石】が
使用されている。その効果はその文字の通り、雷の魔力が蓄積されて
いて、その効果にてあの看板は光っているって訳だ!」
俺の改めて問う質問に対し、ギルマスが魔石とは一体何なのか...
そして魔石にはどの様な効果があるのか、
その説明を俺に詳しくしていく。
「へえ、なるほどねぇ...」
魔石というアイテムは魔物が落とす希少価値なドロップアイテムで、
様々な種類とその魔石と類似の効果があるんだ。
「でなこの魔石はよ、魔物の心臓部...つまりはコアなんじゃねぇのかと
憶測の噂もあってな...」
「魔物の心臓部?」
「ああ。だがよ、冒険者達の間で「じゃ、何でコアをドロップする事の
できない魔物がいるんだ?」...っていう、声が上がり始めてな。実際、
この歴史上で一度も魔石をドロップした事のない魔物もかなり存在してな。
お前が知っている例としてあげるなら、ゴブリンがそれに当たる」
ゴブリンか...確かに俺が習得しているレアギフト...『絶対ドロップ』の
効果を以てしても、ゴブリンからは一度も魔石をドロップしなかったっけ?
「...てな訳で、結局のところはこの噂には信憑性がないっていう事で、
今ではスッカリ消えてしまった噂なんだけどな!」
「ふ~ん、そんな噂がねぇ...でも正直、コアが心臓部だろうがなかろうが、
どっちでもいいじゃねぇか?冒険者の連中はそんなくだらない事で言い
争うんだな?」
「言い争うに決まってんだろうがっ!もし魔石がどの魔物からもドロップが
できるアイテムと確定されたら、色々と出来る事があんだよっ!魔物の特徴や
その属性を推測して、お好みのコアが手に入るんだぞっ!」
た、確かにドロップする魔石がわかっていたら、硬いとか、柔らかいとか、
毒や麻痺等の状態異常系とか、はたまたは、炎、水、風、土とかの属性を
ピンポイントでゲットできちゃうって事だもんな。
「以上で、魔石の説明は大方終わりだ。どうだ、レンヤ?魔石の事は
大体わかったか?」
「ああ、取り敢えずな理解はしたよ。サンキューな、ギルマス!」
「ふ、いいって事よっ!」
レンヤの感謝にギルマスが歯をキラリと光らせてニカッと笑うと、サムズアップを
レンヤにビシッと決める。




