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第百三十三話・年上好きの老け専


「あわわわわ~!?ちょ、ちょっと、リコット!落ち着いてぇぇぇえ~~、

落ち着いてぇぇぇええ~~~っ!!?」


「はう!?ご、ごめんなさい、アリア!つ、つい感情が露になってしまい、

我を忘れてしまいましたわっ!」


アリアの叫声にハッと我に返ったリコットが、掴んでいた手をアリアの

肩から慌てて離す。


「ううぅ。め、目が回って頭がクラクラする......し、しかしあんた、ドえらい

勢いでこの話に食いついてきたわね......あ!そっか!そういえばあんたって、

めっちゃ年上好きの老け専だったっけか?」


アリアがこめかみを手で押さえ、頭のクラクラ感を元に戻しながらそう問うと、


「ええ!そうですけど?それが何か?思いっきり、年上が大好きな老け専ですけど?

それが何か?そんな事よりも、さぁ!さぁ!さぁっ!!その頼れるというおじ様の

情報をカモン、カモン!レッツカモンですわッ!!」


普段見せるお淑やかなリコット王女とは思えないくらい、興奮した顔で鼻息を

荒くすると、アリアの言うおじ様の情報を下さいと両手をクイクイと動かす。


「あ、あんたって、そんなに態度が変貌するくらい、年上が好きだったんだね......」


リコットのあまりの変わりように、アリアが眉をピクピクと動かして呆れつつも、

あの時に出会ったおじ様...レンヤの情報をリコットに詳しく教えていく。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇




「...と、言う事が起きてさ」


「ほほおぉ!お姫様のピンチに風の様に颯爽と現れた白馬の王子様ですかぁ!

クゥ~~ッ!もうなんて羨ましい展開なんでしょうかねっ!」


「あはは...まぁ、白馬の王子っていうか、白馬の『おじ様』だけどね♪」


アリアはレンヤの風貌を思い出すと、王子様は無いかなと苦笑しながら頬を

ポリポリと掻く。


「しっかし、ひどい話ですねぇ~。大・大・大恩人でもあるそのレンヤ様を

そんな酷い目に合わせるだなんて...私だったら、もう恥ずかし過ぎて生きて

いるのも億劫になってしまいますわっ!」


「のぐぅうぅ...わ、私だってそんな事は重々承知の上だよ!でも仕方ないじゃん!

あの筋肉馬鹿が勝手に勘違いして暴走しちゃったんだもん!」


「あの筋肉馬鹿って、もしかしてマッシュ将軍の事ですか?」


まぁ確かにあのマッシュ将軍っておじ様、融通がまったく効かなさそうな

感じですものねぇ。


リコットはいつもアリア達を守らんと周囲一帯に威圧の視線を常に向けている

軍団隊長のマッシュの姿を思い出す。


「真面目なのは良い事とは思うよ。でも流石に今回の件はドが過ぎてたから、

怒ったお母様からその(あと)、タップリお叱りとお説教を受けていたけどね!」


「え!?キ、キサリ皇后が怒った!?へぇ...そ、それは珍しいわね?」


親しい身内や部下達に対し、いつも甘々な態度で接するあのキサリ皇后が?


これはビックリですわねぇ。


「それがさぁ~。どうやらお母様ったら、レンヤ様の事をいたくお気に入りに

なったらしくってさぁ~!」


「へ!?お、お気に入りに......ですか!?結婚するまで、多々なる男性達から

アプローチを受けたにもかかわらず、その全てを気にも止めず、次々と軽く

あしらったとされる、あのキサリ皇后がですかっ!?」


「そうだよ、そのお母様がだよっ!」


リコットとアリアは、キサリ皇后の数ある武勇伝を知っているので、

そんな態度を見せるキサリ皇后が信じられないという表情を互いに見せる。


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