第百十七話・意外に打たれ弱い
......は、はい?
こ、このナイスバディさんの冒険者達が、ミュミュの冒険者達を
暗殺...亡き者にしていた!?
「で、でも何でミュミュの冒険者達をそんな目に?」
俺は疑問に思った事を、ナイスバディさんに問うてみる。
「それは......レンヤ様も体験したと思いますが、あの子っていつも
あんな感じの天然で冒険者を最後は虜っていうか「この子は放って
おけない子!」...って、感じの感情にさせちゃうでしょう?」
ああ...確かに俺もあれだけの黒い噂をミュミュや周りの冒険者から
聞かされても、結局最後は放っておけないってなったもんな。
「だから...つい、あの子に抱いてしまった嫉妬や愚痴りをわたし担当の
冒険者達の前でポロッと吐露してしまって......」
「それを聞いたあなた付きの冒険者達...あのズキン達がそれを本気にして、
暴走してしまったっと?」
「......ええ、そうみたい」
レンヤの問いに対し、ランカが静かに頭を小さく縦に振る。
「あの子が芝居とかじゃなく、純粋の優しさを持っている子だっていう事は
分かっていた筈なのに、わたしは...嫉妬を...してしまった......。そのせいで
死ななくても良いみんなを亡き者にしてしまった。そしてわたしの可愛い
冒険者達にもあんな...あんな暴挙に走らせてしまう結果に......う、ううぅ...」
「はう!?な、泣かないで下さい!それはあいつらが勝手にやらかした事で、
あなたのせいではないんだからっ!?」
今にも泣き崩れそうな表情で、俺に自分の罪を訴えてくるナイスバディさんに、
俺は懸命になってそれにフォローを入れていく。
だがしかし、
「いいえ、そんな事はありません!何度も言いますが、ことの発端はわたしの
嫉妬のせいなんです!そのせいでレンヤさん達も危険な目に合わせてしまった!
わ、わたしは...わたしは受付嬢失格ですうぅぅうっ!」
それでもナイスバディさんはそれは違うと首を左右に大きく振った後、無念と
悔しさを抑えきれないという叫声を荒らげる。
ぬぐぐぐ......
ま、参ったな。
このナイスバディさん、見た目と違って、めちゃくちゃ打たれ弱いん
ですけど!?
「......で、どうするんだ、レンヤ?」
俺がナイスバディさんのギャップに動揺を見せていると、ギルマスが主語を
抜かした問いをしてくる。
なので俺はハテナ顔をして「どうするって、一体なにをだ?」と、
ギルマスに問い返す。
すると、
「こいつを...ランカを訴えるかどうかって事さ!」
「え!?」
「......結果はどうあれ、ランカんところの冒険者がお前達を殺そうと
襲ってきたんだ。あいつらの担当受付嬢であるランカもまた責任を
負わないとな!」
ギルマスが受付嬢として、自分が担当する冒険者の犯した罪の責を
ランカも果たさなければいけないと説明する。
......このナイスバディさんを訴える!?
「な、なぁ、ギルマス。もしもだ。もしも仮に俺が訴えると言ったら、
このナイスバデ......コホン!ラ、ランカさんは一体どうなっちまうんだ?」
「そうだな......お前がこいつを許さないと言うのならば、こいつは即座に
クビだな。更に多額の慰謝料も発生するだろう!」
ク、クビ...そ、それに多額の慰謝料......か。
俺は横目でランカさんをチラッと見ると、顔から完全に色が抜けていた。
クビが辛いのか、それとも慰謝料っていうのが激高なのか......
どちらにしてもランカさんのあの顔色を見るに、俺の選択如何によっては、
置かれる立場が芳しくなってしまうって事は間違いないようだ。
俺がこの後に起きるでだろう、ランカさんの処遇の事をあれこれと
考えていると、
「ねぇ、ねぇ。さっきからそこのオッパイお化けが今回の事に関与をして
いないっていう体で話をしているみたいだけど、なんでそいつが関与して
いないってわかんのよ?」
ルコールが納得いかんといった表情で、レンヤ達に正論な疑問をしてくる。




