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第百十五話・ズキン青年三人組を引き渡し、ギルドに向かう


「で、でもよ、何でこいつらがこんな事になっているんだ?」


「そ、そこんとこの詳しい説明を頼めるか、おっさん!」


「ええ、いいですよ。まず俺達が...ですね......」


レンヤはクエストの帰り道に起こった、事の経緯...何故こいつらが

こんな状態になっているのか?それを門番達に詳しく説明していく。






「......とまあ、大体こんな感じですかね?」


「なるほど...クエストを終えて帰路しようとした矢先、こいつら...

ゴザイ達から襲われたと?」


「はい...」


「そしておっさん達を襲ってきた連中はこいつら三人だけではなく、

他にも複数の冒険者がいたんだな?」


「ですね...」


「はぁ...大体この事情は把握した。しかしこれは参ったな。ハッキリ言って、

こんな大事(おおごと)な案件、俺達の様な門番風情ではとてもじゃないが

対応出来そうにないな......」


レンヤの説明を聞き終わった門番達は、あまりの事の大きさに青ざめた

表情で狼狽えを見せ、額から流れた冷や汗が地面にポトリと落ちる。


「と、取り敢えず、この事を今直ぐにでも上に報告した方が良いか。

おい!お前にも聞こえていたと思うが、衛兵達に至急こちらに来てくれと

伝達しろ!それとギルドマスターと領主に連絡も忘れるな!急げっ!」


「ハッ!」


自分達では手が負えないと判断した門番が、待機部屋に慌てて顔を出すと、

中で待機していた部下に、至急この事を衛兵やお偉いさんに伝えろと(めい)を出す。


「あ、おっさん。おっさんはギルドに帰ってから、この事をもう一度詳しく

ギルドマスターに伝えてくれや!」


「あっとそれから、この案件は今言った様に領主様にも報告が行くから、

もし領主様からなにかしらの命があったら、ギルドの指示を仰いでその元に

動いてくれ!」


なっ!?りょ、領主様だとっ!?


領主様って、確かこの町で一番偉い人だよな?


うへぇ...これまた面倒が舞い込んできそうなワードだなぁ。


最悪の展開に巻き込まれなければいいが......


まぁいい。


仮にそうなった場合、ここからいつでも逃げ出せるよう、宿屋で下準備を

しておくとするか。


頭の中に嫌な予感が駆け巡って思わず苦笑が洩すと、俺は町から逃げる

算段を思考する。


そして、


「わ、分かりました。その時はそうさせてもらいます。では早速ですが、

この事をギルマスに伝える為、自分はこの辺で失礼させてもらいますね!」


俺は取り敢えず、やる事を済ませるべく、門番達に軽い会釈をして別れた後、

クエスト中に起こったこの案件を報告する為、ルコールと共に冒険ギルドの

ある方角に向かって歩き出す。


「ねぇ~。レンヤ、レンヤ~♪」


「ど、どうした、ルコール?そ、そのニヤニヤした顔は?」


「レンヤってさ~、貫禄はそこそこあるっていうのに、何故か敬語が

ちっとも似合わないよねぇ~♪」


「うっさい、ほっとけっ!ほれ。そんな事よりも、ただでさえ色々と

時間を取られてんだ!さっさとギルドに向かうぞっ!」


ニヤリ顔をして今は全く関係のない図星を突いてくるルコールに、

レンヤは不機嫌な表情でそうツッコむと、歩くスピードを上げて

ギルドにズンズンと歩いて行く。


「あ!ちょっと待ってよ、レンヤァ~~ッ!」


そしてルコールも、その後を慌てた足取りにて追いかけて行った。


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