第百九話・ズキン青年三人組、動揺する
「......安心ねぇ?『殺気』をそんなに剥き出しにしているのにか?」
「「「――――――なっ!!?」」」
俺は取り敢えず、奥の森に待機しているだろう、こいつらの仲間には
気づいていないフリをしつつも、様子見を含めたお前らの殺気には
気づいているぞという牽制をかけてみた。
すると案の定、誰が見ても分かるくらいのレベルで、ズキンをかぶった
青年三人が動揺と慌てる姿を見せてくる。
「おぐ!?ほほう...しょ、初心者冒険者なのに、よくそれに気づいたな。
だ、だがよ、こ、これは別におっさんへ向けた殺気じゃねぇんだよ!」
「そう、そう!先程魔物から襲われてしまってよ、つい殺気立っている
だけなんだよ!な、そうだよな!」
「あ、ああ!こいつの言う通りだ!魔物からやっとこさ逃げた直後だから、
その...まだ殺気が抑えきれてないんだよ...あは、あはは♪」
俺から図星を突かれたズキンをかぶった青年三人は、ズキンで顔が
隠れているのにも関わらず、それでもハッキリと分かるくらいの
パニクった姿を見せ、必死の言い訳と誤魔化しを繋げていく。
「ほう、魔物にねぇ......なぁ、若者よ。ひとつ聞いてもいいか?」
「お、おう、何だ?な、何でも聞いてくれよ、おっさん!」
「うむ。それじゃ、ひとつ聞くが...なんで俺達が『初心者冒険者』だと
分かった?特に俺はどこをどう見ても、見た目だけは年季の入りきった
おっさんグラだと思うんだが?」
とっくにバレているのにと俺は心の中で思いつつも、ズキンをかぶった
青年三人に顔を向けると、思わず吹き出しそうな気持ちをグッと堪えて、
次のこいつらの牽制ポイントを突いてみた。
すると、
「はぐぅ!?そ、それは――」
この突きが余程正論だったのか、目の前にいる黒いズキンの青年が
その表情でバレバレなんだけど...と言わんばかりに目を見開き、
言葉を詰まらせる。
「そそ、それはな!そう、こ、こう見えても、俺達はそこそこの冒険者だ!
だ、だからよ、ひと目見りゃ、お、おっさんが初めてですよってのが、
何となくわかんだよ!なぁ、ロング!」
「あ、ああ!そいつの言う通り、俺達には雰囲気でわかるんだよ!そう!
ふ、雰囲気でな!うん、うんっ!」
黒いズキンの青年の失態を右側にいた青いズキンの青年...ロングと呼ばれた
青年が、苦笑を混ぜて必死にフォローすると、それに合わせる様に、
黒いズキンの青年が何度も頭を縦にブンブンと振る。
「と、とにかく、俺達の頼みを聞いてくれませんか?どうかお願い
しますっ!」
レンヤに正論を突かれてあたふたしている黒と青のズキン青年二人の
少し後ろ方にいた黄色いズキンをかぶった青年が強引に押し退けると、
低姿勢な言葉使いでレンヤに頭をペコッと下げて、改めて頼み事をしてくる。




