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第百八話・ズキンをかぶった青年三人組


「...ったく。さて、次のクエストはっと......そうそう、今日追加で

受ける事にした『薬草採取』のクエストだったな!」


採取場所は......確か、東の草原だったっけ?


「よ~し!そんじゃ、ルコール!のんびりしていると日も落ちてくるし、

急いで東の草原に移動するとしようか!」


「あいよ、相棒♪」



俺は軽く嘆息を吐いて背をグッと伸ばして気持ちを切り替えると、

早朝に寄ったギルドにてついでとばかりに受けた『薬草採取』のクエストを

する為の移動を開始する。




それから数十分後。



俺とルコールは目的地の東の森に辿り着いた後、次のクエストである

薬草採取をするべく、薬草をせっせと摘んでいた。



「お!ここにもあったぞ♪」


俺は採取目的である薬草を手に取ると、それをアイテムボックスに

しまい込む。


「今の薬草で目的数は達成したよな?」


「うん。採取数は十個だったから、それで達成だよ♪」


「よしゃ!だったら、これにて薬草採取クエストは終わりだなっ!

くううぅぅっ!腰を屈めた体勢でずっといるのは、おっさんには

かなりキツかったぜっ!」


俺は屈めていた事で悲鳴を上げている腰を落ち着かせる為、ゆっくりと

立ち上がってグッと背を大きく伸ばすと、腰を強目にトントン叩く。


「もうホントおっさんくさいなぁ、レンヤは!でもお疲れさん♪

これにて今日のクエストは無事に終わったね♪後はギルドに帰って、

クエスト終了の報告をするだけだよ!」


「そんじゃま。周りが暗くなる前にリタイの町に帰ろっか!」


「そだね♪」


クエストの魔物討伐と薬草採取を無事に終えた俺とルコールは、

日が落ちてくる前に、急ぎ冒険ギルドへ帰路する為、その場を離れて

リタイアの町に足を動かしていく。



そしてそれからしばらくリタイの町へ歩くこと、数十分後。



「おお~い、良い所で出会ったぜっ!そこのおっさぁぁあんっ!

ちょっといいかぁぁぁあ~~~っ!!」


突如、少し離れた森近くの場所からこちらに向かって大きな声を上げて

俺達を呼び止めてくる男がいた。


「......ん、誰だ?こんな場所で?」


俺はその声に反応し、声のする方向に顔を向けると、そこにはズキンで

顔を隠した青年と思われし三人組がいて、俺達のいる場所に向かって

慌てた口調で走って近づいて来る。


「どうしたんだ、キミ達?そんなに慌てて?」


慌てた姿を見せているズキンをかぶった青年三人組に、俺は真面目な顔で

そう質問をすると、


「あ、ああ!実はおっさんにさ、ちょいとばかり頼みたい事があるんだよ!」


ズキンの青年三人組の中心にいた黒いズキンをかぶっている青年が、少し前に

出てきて、深刻そうな表情でそう答えてくる。


「俺に頼み事?」


「あ、ああ、そうなんだよ!そんなに手間はかけさせねぇからよっ!

な、頼むよっ!な、なっ!!」


......手間はかけさせないねぇ。


やれやれ、この下り文句にこの格好。


これは間違いなく、盗賊の類いだな。


...っていうか、


何だよ、その怪しさMAXのズキンはっ!


そのズキンのせいで怪しむなっていう方が無理があるぞ。


しっかし、こんな町近くの場所で白昼堂々襲ってくるとは......


こいつら、もしかして素人の盗賊か?


仮にだ。


もし人を騙そうとしていないとしてもさ、人にものを頼もうって奴が

何で上から目線で、しかもおっさん呼ばわりにタメ口なんだよ!


騙すなら騙すで、まずはその横着な態度を包み隠せや!


そんな態度を取られて、誰がイエスって答える奴バカがいるんだよっ!


......あっ!


俺がおっさんだからかっ!?


俺がおっさんだから、イキってる若者に対して大きな反抗ができないと

高を括りやがって事かっ!?


俺がズキンの青年三人組に対して、呆れてた表情で苦笑を浮かべて

いると、


「......レンヤ、気をつけて。こいつらのほかに、あそこの森に見える

茂み奥から殺気を放っている奴...一、二...五人くらいかな?そいつらが

気配を消して隠れているわよ?」


はは...これで確定じゃねえか。


「お、おいおい、そんな顔をしないでくれよ、おっさん!べ、別に

俺達は盗賊じゃねぇんだからさっ!」


「そ、そうそう!だから安心してくれよ、おっさ――」


「――安心ねぇ?『殺気』をそんなに剥き出しにしているのにか?」


「「「――――――なっ!!?」」」


俺は取り敢えず、奥の森に待機しているだろう、こいつらの仲間には

気づいていないフリをしつつも、様子見を含めたお前らの殺気には

気づいているぞという牽制をかけてみた。


すると案の定、誰が見ても分かるくらいのレベルで、ズキンをかぶった

青年三人が動揺と慌てる姿を見せてくる。


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