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第百七話・初めてのクエスト


冒険ギルドを出て、リタイの町を離れたレンヤとルコールは、

急ぎ足でゴブリンのいる森に移動すると、討伐クエストである

ゴブリン退治を開始する。


「そっちに行ったよ、レンヤッ!」


「オッケー!こいつで食らえっ!とりゃぁぁぁあっ!!」


「グギャァハッ!?」


レンヤの剣攻撃を食らったゴブリンは命を刈り狩られ、その場にバタンと

崩れ落ちる。


「おお!やるじゃん、レンヤ!今の攻撃は中々良い攻撃だったよ♪」


ゴブリンを見事倒し、ひと息付いているレンヤにルコールが顔を向けて

ニヒヒと笑い賛辞の言葉を送ると、両手をパチパチと叩く。


「ギャギャ...グギャアアァァァ―――――ッ!!」


そんな余所見をしているルコールの隙を狙い、ゴブリンが棍棒を大きく

振りかぶって攻撃をしようとしてくる。


...が、


「甘い!そんなの読め過ぎる攻撃、食らったりしないって♪」


大きく振りかぶった棍棒をゴブリンが勢い良く振り下ろし、ルコールを

攻撃してくるが、しかしルコールはそれを涼しい顔でひょいと軽く受け流す。


そして、



『敵を焼き貫けっ!竜の火炎弾ッ!!』



間を入れず、ルコールが右手を素早く前にバッと突き出し、1メートルは

あろうか火炎の弾を目の前に作り出すと、それをゴブリンに向けて発射した。


「......って、ああ!し、しまったぁぁぁあっ!?」


「――――――ッ!!?」



ルコールの撃ち出した火炎攻撃弾は、あまりにも威力が凄過ぎたのか、

ゴブリンが断末魔をあげる事も叶わず、その姿をこの世から完全に

消し去った。


「ちょ、ルコールさん!?い、いくらなんでもその攻撃はオーバー

キル過ぎだと思うんですがっ!」


「ち、ちょっとばっかし、力加減を間違ちゃったかな...えへへ♪」


「間違えちゃったかな...えへへ♪......じゃねぇっ!!くぅ...こ、こんなに

なってしまったら、流石に討伐記録はされないよな......」


「それは大丈夫だよ。ギルドカードをかざせば、ちゃんと記録されるから!」


「ホ、ホントか!?」


「ホント、ホント!だからさ、ほれギルドカードをかざしてみなって♪」


落胆している俺に、その落胆原因のルコールがあっけらかんとしたニッコリ

笑顔でそう言ってくるので、


「ま、まぁいい。ルコールの言う事がホントかどうかは、こいつをかざせば

分かる事だしな......」

 

俺はルコールの言葉に従う様に懐からギルドカードを急ぎ取り出すと、

それをルコールの火炎攻撃にて消滅したゴブリンのいた場所にスッと

かざしてみた。


い、いけるか!?


......。


............。


..................。



―――ピカッ!



しばらくギルドカードをかざしていると、ギルドカードが一瞬キラッと

光輝いて、そしてその後、討伐カウント数がひとつ増えていた。


「おお!ちゃんとカウントが発動した!」


どうやら魔物がその場から消えても、討伐カウントは発動するんだな。


「でも何でなんだろう?」


俺はその疑問に首を傾げて、どういう原理だと思考していると、


「あたしもどんな原理かは知らないけどさ。多分魔物を討伐した後、

しばらくの間はその場にその魔物の魔力らしきものが漂ってるんじゃ

ないのかな?そして恐らく、その魔力にギルドカードが反応をして

いるんじゃないの?」


「な、なるほど。魔物を倒したという事にカウントするのではなく、

その漂う魔物の残留魔力に反応し、それを捉える事によってカウントを

するって事か!」


「多分恐らくの領域だけどね。ま、その事は後でミュミュの奴にでも

聞くとして。それよりもレンヤ。ギルドカードが何か青く光ってる

みたいだよ?」


「なぬ?あっ!?」


ルコールの言葉を受けて俺はギルドカードに目を移すと、言われた通り、

ギルドカードが青く光っていた。


「『クエスト』の文字が赤から青に変わっているな?それじゃ、これで

ゴブリン討伐は無事に完了したって事か?」


「だと思うよ。討伐カウンター数も五って刻まれているしねぇ♪」


おお、ホントだ!


「よっしゃぁぁっ!初クエスト、無事に完了だぜぇぇえっ!!」


「正確にはギルドに報告した後じゃないと、完了にはならないけどねぇ♪」


レンヤが異世界で初のクエスト達成に喜んでいると、ルコールがニカリと

笑って、レンヤの喜びに茶を濁すツッコミを入れる。


「こら、細かい茶化しを入れるんじゃありません!せっかく初クエストの

達成に感動しているのにさぁっ!」


そんなルコールに、俺は少し拗ねた表情でムムッと頬を膨らませる。


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