エリアとの出会い
部屋の中には生活に必要なモノは全て揃っていた
おもちゃのようなデザインの美しい家電は
地球で知り得る動力源で動いているようには見えなかった
ある種の魔力をとどめてあるようだ
冷蔵庫 電子レンジオーブンのようなもの
ゴミ箱 洗濯機 コンロ トイレ 水道 風呂に至るまで
形はよく知ったそれとそう違わないが
近くに金属のオリの中に閉じ込められた
さまざまな色の光の球が入っている
コンロの近くにはおよそ必要な調理器具があり
クローゼットには私の着られそうな服が幾枚かはいっているが
冷蔵庫の中はカラである
机の上にこの部屋の鍵が置いてあり
イスに座ると暖かな光が机を照らした
着ていた大きくなり過ぎた部屋着から
生成りの浴衣のような服にきがえると
私は鍵を首から下げ
券を10枚生成りのカバンにいれると
食料の調達に出ることにした
扉を開けると27Cとかいてあり
緩やかな螺旋状になった道に沿って登っていくと
27D 27E....と続いていく
多分30階であろう場所に着いたときに
急に視界が開けた場所に出た
田畑や家畜の世話をしている人たちがたくさんいる
農作物や食肉を加工する場所もあった
彼らも私と同じような服装だが
身長が高く髪が薄緑色に光り
尖った耳を持ちとても美しかった
「食料を売っていただけますか?」ときくと
「券か仕事のどちらで?」と言われた
私はとっさに「仕事で」と答えた
すると彼らがざわつき始めた
「 なんの仕事ができるのですか?」と問われ
「食糧を料理してきます」と答えたら笑われた
「 料理とはなんですか?」
エリアと言う名の1人が
私についてきた
丸ごとの鶏肉と野菜を数種類
塩と数種類のハーブをわたされた
どうやら彼らには調理器具のたぐいはないようだ