第一話 戦乱
多少、グロテスクな表現が入ります。苦手な人は注意してください
僕は目の前で見てしまった
「あ、ああ…」
自分の親が、目の前で…
「あああああああーーー!!!」
殺される場面を
「あっちにもまだ居たぞ!」
兵士が二三人で僕を囲む。血がついている剣を僕に向けて…。
「してやる、してやる!お前等全員、皆殺しにしてやる!!」
僕は生まれて初めて怒りを知った。自分の怒りを、本当の怒りを。この16年の人生の中、最大の怒りを。
「やっちまえ!」
兵士達が一気に襲い掛かる。だが、今の僕には関係が無い。僕の全身が、相手を殺すために変化しているのが自分でもわかった。
理性を失ったんだ
「死ね!」
僕は斬りかかる兵士の脇辺りを抜け、僕は親が手に握られている太刀(長さが60センチ以上の長めの刀)を抜き取り構える。
「死ぬのはお前等だ!」
再び襲い掛かる刃を、僕は太刀で弾き返して隙を開ける。そして、僕は相手の鎧と兜の隙間に刀を突き刺す。
「グヘェ」
相手は血を吐き倒れる。それがさらに引き金へと変わる。
「殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す」
僕は相手を殺す事しか頭に入らなくなった。その時である。
「落ち着け、ライフ!」
僕を呼ぶ声が聞こえ、一瞬我に帰る。目の前に、僕の名を呼んだ本人が居る。だけど、敵兵でも肉親でも無い。友達でも無ければ、親戚でも無い。1人の男である。
「逃げるぞ!今のままじゃ、全員死ぬぞ」
その声は、優しく僕に投げ掛ける。だが、僕は再び理性を失う。
「殺す殺す、全員殺す!」
「ライフ!」
その時、敵兵が男に斬りかかる。
「邪魔をするな!」
男はベルトに着けた革製の入れ物からナイフを素早く取りだし、敵の首に突き刺す。敵兵は声も出さずにその場に倒れる。
「くそ、仕方ない!!悪く思うな」
取り乱す僕の腹に正拳が入る。僕は何も言えぬまま、気を失ってしまった。