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災難  作者: ゆぁ
5/6

女の子完成期

次の日の朝、いつものように遥斗はシャワーを浴び、髪を乾かし、ドレッサーの前に座った


莉奈からは何の指示も無かったが、自発的にお化粧の練習をした。


相変わらずビューラーでまつ毛を上げ、マスカラを塗る時と、口紅を塗る時は男として惨めな気持ちになるが、そんな事は言ってられないので淡々とお化粧の練習に打ち込んだ。


化粧も終わり昼食と休憩をとっていると

「遥香、今日はツインテールにするんだっけ??」

莉奈が聞いてきた


「うん そのつもりよ」


「そう、じゃあ早速やろっか!」

と言うと莉奈は櫛を持って遥斗の後ろに立った


「今日はまず私が最初にやってあげるから、よく見てるのよ」


すると莉奈は丁寧に遥斗の髪をブラッシングしだした。

ブラッシングが終わると後ろ髪を2つに分けるため櫛の下の部分を使い綺麗に分けていく


「まずツインテールにするには髪の毛を均等に分けるのが重要なの ここを適当にやっちゃうと綺麗に見えないから慎重にやるのよ」


髪を2つに分けると櫛を使い髪を纏めていく


纏めた髪を手で掴まれてながら

「ヘアゴムはどうする? せっかくだから可愛いのつける?笑」


「うん…」

必死に笑顔を作り答えた


「じゃあ今日はこれにしよっか!」

と言うと小さなピンクのリボンが付いたゴムを手に取り、遥斗の髪をキツめに縛っていく


縛られていくにつれ髪が引っ張られる感覚になり、ツインテールにされている屈辱感が出てきた。


「じゃあもう片方も括っていくね!」


反対側と同じ様に髪を纏め、同じヘアゴムで髪を縛るとツインテールが完成した


「はいできた♡ やっと遥香の大好きな髪型ができて嬉しいでしょ? 鏡でよく見てごらん」


遥斗にとって初めて女装させられた時以来のツインテールであり、トラウマになった髪型をじっくり見させられた。


ピンクのネグリジェを着て

顔には化粧を施し

長くなった髪は女の子のようにサラサラで

前髪をぱっつんにした女の子がそこには写っていた。


恥ずかしさと屈辱感でまじまじと見たくは無かったが、莉奈が後ろで笑みを浮かべながらこっちを見ているので、笑顔を作った。


しかし、鏡に映る自分はたった1人の女の子を恐れ、必死に笑顔を作って、女の子になることを強制させられてるこの状況を考えると、また涙が出てきた


遥斗はその涙を隠すために一生懸命笑って誤魔化す


「…わたし… 嬉しい… 莉奈 こんなに可愛い髪型にしてくれて…ありがとう… 」

そう言いながらも目からは涙が止まらず、声が震えている


すると莉奈は遥斗の髪を弄りながら

「遥香泣くほど嬉しかったんだ ならこれからは私が何も言わない時は基本ツインテールにしなさいね」


「 … うん!…」

遥斗は目を擦りながら答えた


「じゃあ次は自分でやってごらん」

莉奈は遥斗のヘアゴムを外し櫛を渡してきた


まだ涙が止まっていない中、さっき教えられた通りにツインテールを作っていく


莉奈が言う通り、やってみるとやっぱり髪を分けるのが難しく苦戦した


「むずかしぃ…」


一人言を言いつつもとりあえず髪を2つに分け、髪を2つに括ってみたが、左右のバランスが取れず上手くいかなかった


「まぁ最初だからしょうがないね 練習してけば綺麗に出来るようになるから頑張って!」


遥斗はそのまま夜になるまで何度も何度もツインテールの練習をした。




その中で一番上手につくれた時に

「振って!」


莉奈に言われた

遥斗は慌てて頭を左右に振る


ポニーテールと違い、髪が顔のすぐ近くで揺れ、顔に当たる

また毛先が肩に触れる事で、髪が左右に分けられてる事を感覚的に感じる



「よし! じゃあ続けて」


遥斗は莉奈の命令の意図がわからないまま、また練習を続けた



そうしているうちに夜になり、またいつものようにシャワーを浴び、綺麗になぁーれと言いながら髪の毛の手入れをして、寝る前のセリフを言わされ、今日一日が終わった。



それから遥香は毎日、午前はお化粧、午後はヘアアレンジの練習をし、空いた時間で女の子としての立ち振る舞いをみっちり教え込まれた。



2週間が経った頃、もう遥香にできない髪型は無くなり、お化粧も普通に出来るようになった。


また莉奈の前では完全に女の子を演じる事も出来るようになり、電気をくらう事もほぼなくなった。


そんな日の朝、いつものように朝のヘアケアをしていると


「今日はお出かけするから準備しな!」


「え?どこに行くの?」


遥香は恐る恐る聞くと


「今日は美結と香織にお披露目する日よ! だからその前に美容院行って可愛くなってから会いましょ♡」


莉奈も今日は外出の準備をしている


遥香は莉奈の家に来て以来外には出ていなかったため、憂鬱な気分であったが、美結と香織に会うだけならと思い準備した


「はるかー 今日は何着たいー??」

といい莉奈はクローゼットの中にある大量の洋服を選んでいる


「これなんかどうかしら?」


莉奈は服を持ってきて遥香の体に合わせる


「う…うん 可愛くて素敵だわ」


莉奈が持ってきたのは水色の花柄のスカートにフリルがついた白のブラウスだった

男でいるうちは絶対に着ることが無かったであろう、ザ・女の子の服を上から当てられ顔を赤らめた


「じゃあこれにしましょ! この服だと髪型はストレートの方が似合うから、今日の髪型はサラツヤストレートヘアーね!」


遥香は言われたとおりに髪型を作っていく


女の子のストレートヘアーは一見何にもやらないようだが、実際はストレートアイロンでまっすぐにし、何度も何度も櫛でブラッシングしてサラサラな髪の毛に仕上げていく


遥香はここ数日、男としての尊厳は心の奥底にしまいこみ、女の子らしくなる自分を考えないようになっていた。



遥香の身支度が終わり、いよいよ外に出る時がきた

見た目は完全に女の子なので、基本的に男とバレることは無いと思うが、やはり恥ずかしい。


「じゃあ行くよ!」

莉奈は遥香用に準備していたヒールを遥香に履かせる


「ヒール履くの初めてだと思うけど、足が綺麗に見えるから我慢してね!笑」


と言って、遥香は莉奈の後ろをついて歩いていったが、自分が歩くたびにヒールの音が響き、何とも言えない気持ちになった。


履き慣れないヒールで歩くこと10分、やっと美容院についた。


入口の前に立つと、遥香にとって屈辱の思い出が蘇ってきて、一瞬立ち止まってしまったが、莉奈は構わず店内に入っていった。


「こんにちはー! 予約してた七海でーす!」


すると奥から莉奈の姉の加奈が現れた。

「いらっしゃい莉奈!」


加奈は莉奈に挨拶した後、遥香を見た。すると少しびっくりした顔をしたかと思いきやまるで小さな子供を見るような笑顔をつくり

「あらあら遥香ちゃん! !なんて可愛くなったの♡ もうまるで女の子ねー! 今日はおめかししちゃって!」


「遥香は今日美結と香織にお披露目するから、その前に髪の毛綺麗にしてもらいに来たのよね!遥香?」


「はい… お願いします。」


小さな声で答えると早速加奈に連れられて美容院の椅子に座らされた。


「で、今日は髪の毛綺麗にしたいんだっけ?」

鏡越しで加奈が聞いてきたので昨日莉奈に言われた通りに答える


「はい…トリートメントして、サラツヤな女の子の髪にして下さい…」


遥香は男であるなら絶対に言わない注文をさせられた


「わかったわ しっかり女の子の髪の毛にしてあげるわ。」


そこからはひたすらトリートメントやブラッシングを繰り返し、全てが終わった時そこには天使の輪が綺麗に光るサラツヤ髪を纏った自分がいた。


「はい完成よ! その辺の女の子にも負けないぐらい綺麗な髪になったわ! 触ってごらん!」


遥香は自分の髪を手櫛を入れると、まるで絹のような指通りになり、一瞬嬉しい気持ちになってしまった。


「どお? リクエスト通りサラツヤになったでしょ?」


「はい… とっても嬉しいです。」


遥香は屈辱感を感じながらも、お礼を言った


そこへ莉奈もやってきて

「おおー! ホント綺麗な髪になったわね!お姉ちゃんありがとう! じゃあ時間もあんまりないからもう行くね! 」

と言って莉奈はそのまま遥香を連れて店を後にした。



「じゃあいよいよお披露目ね! みんなはカラオケにいるからそこに行きましょ!」


遥香は何も言わずに莉奈についていった。


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