表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/89

黒い魂との戦い(1)

 大変長らくお待たせいたしました。文章が思い付かないことや、モンハンの世界に旅立ったりしていた関係で遅れてしまいました。できるだけ早く投稿するので、これからもよろしくお願いします!

 手始めに隆二は拳銃を数回発砲する。

 パン!パン!と発射された弾丸は、黒い魂の塊にめり込んだ。しかし、黒い魂がダメージを受けることはなく、そのまま弾丸は吸収された。

「ほんとに効かねえな……」

「そりゃあそうじゃろ。魂が実態化したものだと言ったであろう」

 ふと呟いた文句がダイアン・フォーチュンに聞こえていたらしく、声をかけてくる。

「1つ質問がある」

「なにかね」

 隆二はずっと聞きたかった質問をする。

「『聖女』の入手とか言ってたが、『聖女』ってのは一体誰を指しているんだ?」

「おっと、言っていなかったかのう。主もその一端を垣間見ている(・・・・・・)と思うぞ。わしが言う『聖女』はエミリー・スチュアートのことじゃよ」

「エミリーさん!?」

 いきなり出てきた知り合いの名前を聞いて隆二は驚いた。なぜエミリーなのかと聞きたいところだが、その前に重要なことを知らない。

 聞いてみようと思ったが、

「ッ!!」

「おしゃべりはここまでじゃ」

 ダイアンの黒い魂が隆二に向かって放たれた。隆二がそれを右手で持っていた剣で弾くが、一瞬怯んだように見えただけで、またこちらに向かってくる。

 隆二は一度距離を取るように後退すると、魔法を発動する。

 

 『光湾集(カルバレーション)』。

 複数の光の玉を発動し、対象者に集中砲火する。使用者のイメージ次第で光の塊は増える。


 隆二が発動した光の玉は30個以上はあった。

 彼の合図とともに、それらが一斉に放たれる。

「おお。量が多いな」

 曲線を描きながら自分に向かってくる光の玉を見ながら、ダイアンは呑気に答えた。

 それとは反対に、ダイアンは凄まじいスピードで空中を駆け巡りだした。

「受けないとは言え、無駄なダメージは受けたくないものじゃ」

 ダイアンは自分に直撃しそうな光の玉は黒い魂で防ぎ、当たるおそれのないものは無視していた。

 そんな彼を視界の端に捉えながら、隆二は防がれなかった光の玉を見ていた。

「すまんな、ダイアン」

「ん?」

 隆二はダイアンの後ろを指さしながら言った。

「どうやらこの魔法、追尾機能があるようだ」

 黒い魂によって防がれなかった光の玉は、一度ダイアンの後方に行くと、途中で進行方向を変えて再びダイアンを狙うべく彼に向かって突き進む。

「まったく、面倒くさい魔法じゃな」

 ダイアンはそう言うと、黒い魂を使ってそれを迎え撃つ。

 ダイアンの集中が光の玉に向かっている間に、隆二は剣を構えて距離を縮める。攻撃可能範囲にダイアンを捉えると、剣を横に薙ぎ払う。

 ガキィン!という衝突音を響かせて、剣はダイアンの黒い魂に阻まれた。

「甘い、甘い。ここまで生きているのだから、それ相応の場数は踏んでおるわ」

「そんぐらいわかってる。これだけで終わると思ってもらっちゃ困るぜ」

 隆二は剣を握っている方とは逆の手で握り拳を作る。

「『衝撃波』!」

 拳に纏った『衝撃波』の魔法を黒い魂に叩きつけた。


 実体を持たない魂を無理やり実体化した『黒い魂』は、ダメージを受けることもなければダイアンの意思意外で消滅する可能性も低い。しかし、同時に『黒い魂』は押し返すことができる。

 隆二の『衝撃波』を使った攻撃は、『黒い魂』を押し返すためだけに(・・・・・・・・・)放ったものである。


 つまり、一連の攻撃にはまだ続きがある。


 衝撃波によって生みだされた衝撃の中心から離れるように分散した黒い魂の隙間を狙って、隆二は2つの武器をそれぞれの方向へ投げた。

 1つ目の武器はダイアンに向けて。


 『筆型手裏剣』

 棒手裏剣の一種で先端が大きくなっている。


 オスカ・ヘンリーとの戦闘後、戦闘スタイルを増やすためにいくつか買っていたのだ。

 今回、隆二が筆型手裏剣を投げる際にした方法は『直打法』と呼ばれるものである。打ち方は先端を標的に向けて投げる、という反転打法や回転打法と比べると簡単な投げ方である。


 隆二とダイアンとの距離は1メートルほどしかなかっただろう。しかし、ダイアンは隆二の投げた筆型手裏剣を見事にキャッチした。

 だが、隆二にはまだもう1つの武器がある。

 筆型手裏剣と同時にダイアンの頭上へ投げた、剣。くるくると縦に回りながら落下してきている。

 それをダイアンに知らせるために、隆二は目線を剣に向けた。案の定、ダイアンは隆二の目線を追って、剣を見る。

 剣に気づいたダイアンは、対処するために黒い魂を操作する。

(引っ掛かったな……!!)

 隆二は腰に掛けてあった鞘から、ハルパーを抜く。

 そのままの勢いで、一気に首を落としにかかる。

 しかし。

 ガキィィン!!という音を響かせ、またもや黒い魂に阻まれた。

「惜しかったな、じゃが作戦が見え見えじゃ。剣を投げた時点で次に何かが来るのは予想するじゃろう」


 ハルパーの攻撃も防がれた。

 だが、隆二にはまだ攻撃の用意があった。


 ダイアンの言葉には答えず、隆二はハルパーで黒い魂とせめぎ合いをしながら、もう1度逆の手で握り拳を作った。それを黒い魂に叩きつける。

「『衝撃波』!!……これで――」

 黒い魂が分散する。

「もう1度、俺のターンだ!!」

 瞬間、隆二はダイアンの頭部へ思いっきり回し蹴りをした。

「ガゥア!?」

 頭部を攻撃されたことにより、ダイアンは斜め下へと叩き落された。


 0.5秒とか、そういう単位で表すほど短い時間の後。

 ドゴォォォン!!という、ダイアンと地面が衝突した音が響き渡った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ