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魔王復活の予兆

 ノンとの話が終わり、本命に入るために隆二はオルリナに話しかける。

「ほら、成功しただろう?」

「成功以前にスケールが大きすぎて私にはよくわかりませんけど。でも、ノンさんの言う通り心臓に悪いのでああいうのは控えてくださいね」

「分かってるって」

 腕を組んでいるので、オルリナも結構怒っているのだろう。もう1回説教を受けるのは嫌なので隆二は早々に話題を変える。

「それよりモンスターの大群はどうなった?ちゃんと倒しきれたか?」

「粉塵でよくわかりませんが、あの大火力で生きている可能性は極めて低いです」

 粉塵というよりかはまだ爆発を起こしているので、当分はバリア内の状況は把握できないだろう。だが、一応は安心できる。


 しかし、ここで問題が生じる。


 隕石は元々隆二が発生させたものなので問題ないが、モンスターが種類関係なく群れを成しているのがいささか問題である。というのも前に説明した通り、同じ種類のモンスター同士が群れを形成することはあっても別種同士で群れを形成することは前例がない。

 しかし、前例がまったくないわけでもない。

 オルリナ達が意識的に否定しているのかもしれない。

「今回のモンスターは、いくらなんでもイレギュラーすぎます」

 オルリナがモンスター達が閉じ込められているバリアを見ながら言った。

 そして、隆二を見た。


「これは、魔王復活を視野に入れた方がいいかと思います」


 ゲームやアニメ、小説ではお馴染みの単語に隆二が反応した。

「魔王だと?この世界にもそんなのがいるのか……」

「この世界?」

「あ!えっとまあ、気にしないでくれ。それよりもなんでモンスターの大群が来ただけで、魔王復活に繋がるんだ?」

 オルリナの問いに少し慌てながらも誤魔化すことに成功した隆二は、疑問に思っていたことを口にした。

「はるか昔に魔王がいた時代があったようです。詳しいことはわかりませんが」

「まあ、俺たちは生きてなかったからな」

「生まれてなかったと言ってください。話を戻しますよ。しかし何もわからないというわけでもなく、一応文献は残っているのです」

 オルリナは頭の中から知識を絞り出しながら言った。

「100年前、いやもっと前だったけ?まあそのくらい前に魔王が降臨したそうです。その時は勇者が倒したそうですが。そして魔王降臨の前兆として伝えられているのが、ほぼ全てのモンスターが集い国を襲う現象です」

「え。今の状況、めっちゃそれと合致してるじゃん。じゃあその時のモンスターの大群は、魔王を倒した勇者が倒したのか?」

「同一人物かどうか以前に、勇者が誰かもわかっていません」

 隆二は思った。

(まーたこれだ。情報屋の時もあったけど。肝心なところがわからない事件だ)

「でも、確かモンスターの大群を倒した人の名前は記されていたはずです」

 うーんうーんと何秒か唸っていたオルリナだったが、思い出せなかったのか途中で考えるのを止めた。

「すみません、思い出せないので後日調べておきます」

「ああ、よろしく頼む」

 隆二はオルリナの言葉を少し残念に思いながらも、勇者の名前を調べるようにお願いした。

 こういう依頼を簡単に受けてもらえるのが四天王の特権なのかもしれない。

「なんにせよ、四天王を招集しなければなりません。最終的には友好国とコンタクトをとる必要がありますね」

「四天王招集か……。どんなメンバーか興味があるな。まあ1人はガレスさんってわかっているけどな」

 一通り必要事項を隆二に言ったオルリナは突然バリアを指して言った。

「四天王どうこうの前に、四天王の1人と言えど責任は取って貰いますからね」

「ぐ、具体的には?」

「まず国王様には報告しますかね。後はバリア内の爆発が終わった後の処理、その他については国王様の判断によります」

「よかった。楽なので」

 責任と言われたので、結構重いものかと思ったが隆二としては軽いものだったので安心した。

「ということなので、バリア内の爆発が終わるまで待ちますよ」

「おう」



***



「よもや、魔王を倒して終わりなどとは考えてはいるまいな?」

 男はそう言った。

 その場には男以外に人は見当たらないが、その声に答える者がいた。

『そんな甘ったれたことを考えているわけがないだろう。ということは貴様か?魔王なんぞというザコを召喚したのは』

「カウスター・クーベルか。久しいのう、まさかお主から仕掛けてくるとは思わなんだ」

 通信魔法を使い2人は話をしているようだった。

 男の言葉を聞いた後、カウスター・クーベルは少し笑った。

『嘘を言うな。本当は全てわかっているのだろう、ダイアン・フォーチュン。さっさとこちらの質問に答えろ』

「主も自分で言っておるではないか。魔王なんぞというザコを召喚したのはわしではない。ザコとわかっていて何故面倒くさいことをやる必要があるのか。あれを召喚したのは『神国』の若者言葉で言うところのプログラマーいや、ニートかのう。あのパソコン馬鹿がまたやりよった」

『「遠間耕(とおま おさむ)」か……。確か百数年前にある計画を企てていたな。ここ最近大人しくしていると思ったら、このタイミングで仕掛けてきたか』

 その言葉だけを見ればカウスター・クーベルが少し慌てているように感じるかもしれない。しかしカウスター・クーベルは慌てることはなく、静かに冷静に言葉を発した。

『アイツは関わると少々面倒だ。ほっといてもいいだろう』

「それが妥当であるな。して、主は何故わしに接触したのかね?」

 男、ダイアン・フォーチュンの目が光った。

 いや、詳しく言えばダイアン・フォーチュンがかけている眼鏡が、青白く不気味に発光している。

『「最後の地(ディニアーテール)』へ転移していた時に、「無に還し(ノンイレーズ)はどこにいるか」などと呟いていた時点で、貴様が私から接触してくるのを待っていたのは明白だ。貴様から私にそう仕掛けたのだろう』

「それに乗ったということは、それほど主にとって無に還し(ノンイレーズ)が大事だと受け取っていいのかのう?まあ、安心しろ。わしの目的は無に還し(ノンイレーズ)じゃなかろうて『聖女』の方であるわ」

『まあ勝手にやれ。ただし、あまり派手にやるな』

「ほっほ!善処するわ」

 ダイアン・フォーチュンがそう答えたすぐ後に、通信魔法の接続が途絶えた。

 ダイアンの眼鏡が不気味に青白く光り続ける。

 彼はブーツの音を響かせながら、目的の場所へと向かった。

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