表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/89

白髪の少年

 掴まれた手を振り払い、白髪の少年と距離を置くルイス。

「誰ですかぁ?あなたは。いいところだったんですけどね」

 ルイスの質問を完全に無視して、少年はエミリー達に目を合わせた。

「遅くなった。すまない。コイツの相手は俺がする」

 少年の声色がある人と似ていた。

 見れば、服装もその人と一緒だし、髪の色や目の色が変わっただけで顔立ちも一緒だった。

「師匠…ですか?」

「ああ。そうだ。このスキルを使うと姿が変わるからわからなかったか」

 エミリーの質問に隆二はそう答えた。

 人の印象というのは外見によるものが大きく、今回のように髪や目の色が変わるだけで印象というのは大きく変わるものである。

 隆二が別人に見られたのはその原因もあるが、彼から放たれるオーラが今までの彼と違いすぎていたから、というのもあるだろう。

「リュウジさん!無事だったんですね!」

「心配かけてごめんな、ノン」

 隆二は駆け寄ってきたノンの頭を撫でた。

 突然の事に最初は驚いていたノンだが、すぐに猫のように目を細め気持ちよさそうにしていた。

「そういえば、エミリーさんとテミスさんは何でここにいるだ?」

「父の貿易交渉に付いて来たんです。師匠がまた、戦闘の中心にいるとは思ってもいませんでしたが」

「今回は、いや今回も自分で首突っ込んだわけじゃないんだが」

 隆二はそう言うと、動けなくなっているエミリーの背中と足に手を伸ばし、持ち上げた。


 いわゆる『お姫様抱っこ』というものである。


「え!?え!?し、師匠!!いきなりどうしたんですか!?」

「え?いや、動けないんなら運ぼうかと。ここにいたら色々と危険だし」

「そ、そういうことじゃなくて…」

 エミリーは途中で言うのを止め、されるがままになった。

 ちなみに外野は、私もしてもらいたい!というような羨望の眼差しで見ていた。

 エミリーを少しルイスから距離が離れたところに置いた隆二は、ルイスに鋭い目を向ける。

「待たせたな。ノン達が随分と世話になったようだな」

「いやいや、結構待ちましたよ~。その間に仕掛けなかった俺を敬ってほしいですね。まあ、こっちもこっちで準備があるんで…ッ!」

 ルイスが言い終わる前に、急接近した隆二は拳をルイスに放つ。

(このスキル発動中は、一発一発が周囲を巻き込む大規模な威力を生んでしまう。なら、力を最小限に!)

 そう。隆二は拳ではなく、手の形を『デコピン』にしてルイスに放ったのだ。

 ルイスの体はぼろ雑巾のように吹っ飛んだ。

「がぁぁァァァァ!!」

 途中で土に突っ込み、停止する。

 ダメージがかなり大きいのか、ルイスはデコピンされた腹を抑えてうずくまる。

「情けは要らないかな」

 追い打ちをかけるように、隆二が一瞬でルイスの前に行く。

「さっきのは別に必殺技じゃないんだ」

 デコピンを作る。規模を最小限にして、エミリー達を巻き込まないようにするために。

「これから必殺技を撃ってやるよ」

 ルイスの体には直接触れず、ルイスの上の空間に向かって放つ。



「全てを無に還す」



 小規模とは言い難いが、今までよりかは確実に規模が小さくなった『白い爆発』が起きた。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ