表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/89

ワームの消滅

 ストラスフォード国城内。

「なんだ!あの光は!?」

 ステルダム国国王マクルス・スチュアートは連続して起きた謎の現象に驚愕していた。

 まず『白い爆発』が2回起きた。ストラスフォード国騎士団の報告では、国の関所を越えて、そのまま突き進むと辿り着くダンジョン付近の可能性が高いとのことだ。

 その次に『眩い光を放つ柱』が今出現した。

「騎士団を向かわせろ!何が起こっている!」

 ストラスフォード国国王ティル・ファングが騎士団に指示を出した。

 この2つの国の王はつい先程まで、貿易交渉をしていたのだが、一時休憩のような感じで並べた椅子に腰を下ろして、景色を眺めていたのだ。

 そして今、マクルスが心配しているのはエミリーとテミスのことだ。

 2人がマクルス達の話についていけず、城を抜け出したのは知っていた。

 城下町に行ったのだろうが、あの2人は正義感が強く困っている人がいたら助けるのが当たり前だと思っているため、今回の現象を見て、彼女たちが騒ぎの中心に向かった可能性が充分にある。

(どうか、危ないことに首を突っ込まないでくれ)



***



 『聖の援助(ジエルデイ)』の攻撃(?)を受けたワームはそのまま眩い光にのみ込まれた。

 『聖の援助(ジエルデイ)』を発動したエミリーは体からが力抜けるような感覚がしたときにはもう、地面に突っ伏していた。

 この時点ですでに、『眩い光の柱』は消えていた。

「な、なに?」

「エミリー様!どうされたのですか!?」

「なんか、体に力が入らない!」

 テミスはエミリーの体に近づき、何か異変がないかと探したが怪我のようなものは確認できなかった。

 ノンもエミリーが心配だが、ワームを完全に消滅できたかが1番の問題事項のため、目を凝らして光が消えた後に残った砂煙を見ていた。

 目を凝らし見た結果、土煙の中にデカい影は発見できなかった。

 つまり。

「エミリーさん!テミスさん!ワームが消滅しています!」

「ホントですか!?やりましたよエミリー様!」

「これで一軒落着だね。なんか体動かないけど」

 3人が喜んでいたその時だった。

 

 トンッ!と地面を蹴る音が響いた。


「俺を忘れてはいませんかねえ?」


 戦闘開始から今までずっとハットを深く被り顔を隠していたルイス・ハーンがハットを取って、砂煙から現れた。

 その顔は、壮大な傷痕があるわけでもないが、見開かれた目や限界まで開かれた口角は、相当な迫力があった。狂ったような笑みだった。

 凄いスピードを、それもテミスもノンも反応できないほどのスピードを出し走っているルイスから、声が聞こえた。

「さっきの攻撃には少々焦ったが、ギリギリで避けれたんですねえ!ワームが倒されるという結果はまだ許容範囲ですぜい!全てが許容範囲だった!1つお前の能力だけが許容範囲外でした!だが、残念~!お前のその能力も調べたいが、オスカさんの命令だ」

 もう、エミリーの目の前、テミスの真横に来たルイスはエミリー達が反応する前にハルパーを掲げる。


「とりあえず死ね」


 明確な殺気だった。


「エミリー様ァァァァ!!」

「エミリーさん!」

 掲げられたハルパーに遅れて反応した2人が止めに入ろうとした。

 だが、見るからに手遅れだった。

 思わずエミリーは目を瞑った。

 振り下ろされる武器を見ないために。


 ところが、いつまで待ってもハルパーが振り下ろされることはなかった。

 エミリーは目を開ける。


 少年はルイスの手首を握っていた。

 その白髪の少年は全身を黒い服で覆っていた。


「よお」


 怒気を含む声で、ルイスの手首を握る手にさらなる力を加えて少年は言った。


「これも、許容範囲か?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ