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無敵の再生能力

 机に散らばる文房具のように、テミスを薙ぎ払ったワームはそのまま前進を続ける。

「テミス!!」

 ワームの体が直撃したテミスはボールのように、近くの食堂へ突っ込んだ。

「がばっ!」

 テミスの肺が圧迫され一気に酸素が放出される。

 まだ先ほどの衝撃に悶えているテミスにさらなる攻撃を仕掛けようと、ワームが体をうねりだす。

「今援護に向かう!」

「私が奴の注意を引き付けます!その間に簡単な治療を!」

 エミリーがテミスの元へ全速力で走り出す。

 その行く先を遮ろうとワームが体を動かし始めたが、ノンの攻撃により中断させられた。

「何が効くかはこの際どうでもいいです。再生が追いつかないくらい攻撃をしてやります!」

 ノンは小規模魔法から中規模魔法を次々と連射していく。

 しかし、ワームの体はいくつもの傷を作っても再生能力のスピードがノンの連射を上回り、無傷の状態にすぐに戻される。


 ノンが正面でワームと戦っている間に、エミリーはワームのほぼ側面にある食堂に横たわっているテミスに駆け寄る。

「大丈夫!?簡易的な治療ならできるけど!」

「食堂の壁を突き、破ったときに、少々怪我をしまし、たがかすり傷程度なので、大丈夫です」

 腹付近に思いっきり攻撃を受けたため、圧迫された肺によるダメージが回復していないテミスは息苦しそうにしながらも、自分の体の状況をテミスに報告した。

 エミリーが見ても肉体的な激しいダメージを負っているようには見えなかった。それよりも体内部へのダメージが大きいのだろう。

「これじゃあ私は治療のしようがないわ。何かしてほしいことはある?」

「いえ、じきに呼吸は、元に戻ります。少し、時間をいただけ、れば問題、ありません」

 呼吸を整えるために、テミスは喋るのを止めそちらの作業に専念する。

 テミスの一応無事な様子を確認したエミリーは、ワームと交戦中のノンへ視線を向ける。

「私はノンちゃんのところに戻るけど、無理して早く来る必要はないからね」

「はい。万全になったら、戻ります」

 テミスを食堂に残し、エミリーはノンの元へ急ぐ。


(攻撃範囲がでかい!このままじゃ体力切れで攻撃を受けてしまう可能性が高くなる!)

 その巨体とは裏腹に次々と精密な攻撃を放ってくるワームにノンは反撃が出来ずにいた。

 10秒中に2,3回攻撃を放ってくるため、普通の攻撃でも広範囲に広がる攻撃を避けるので精一杯だった。

 そのとき。

 横から声がかかった。

「ノンちゃん!そのままソイツを引き付けといて!」

「了解です!」

 ノンの行動を確認し、エミリーは魔法を唱える。

(まだヤツの性能を理解してないときに大規模魔法を使うのはMPの無駄使いだ。ここは威力も十分ある中規模魔法に抑えておくのが最適!)

「『獄炎ピラム』」

 ぼうっ!と炎がワームの足元に出現した。

 炎はワームの体を包み込み、さらに激しく燃え始める。

 近くにいたノンは巻き込まれないように素早く後方に避難した。

 

 今度こそ。

 致命傷になるか。

 

 そう考えたときだった。


 燃えていたワームの体が淡い光に包まれた。

 瞬時に燃えた部分は再生し、炎も消えた。

「な!?今の攻撃に再生を間に合わせてくるなんて!」

「一度作戦を練り直しましょう!中途半端な攻撃力ではヤツを消滅させきれません!」

「でも、どうやって!?コイツを町中で暴れさせるわけにはいかないよ!?」

 エミリーの質問を聞いたノンは関所を指さす。

「わざわざ町中で戦う必要はありません。コイツを誘導して城下町の外に連れ出しましょう」

「なるほど。私は誘導途中にテミスの様子を見るわ。その間、誘導役は任せてもいい?」

「大丈夫です。次にコイツが攻撃したら誘導を開始しましょう」

 それぞれにいつでも走り出せる準備をする。

 そして。

 ドゴォォォン!という轟音と共に振り下ろされたワームの体は地面にめり込む。

 その攻撃を避けて、エミリーとテミスは走り出した。




 『限界突破リミットブレイク』のあるダンジョンの戦い

 現在の状況

神崎隆二…戦闘可能。エクストラスキル開放状態。現在地不明

ノン・マティス…戦闘中。現在地『ストラスフォード国城下町』

エミリー・スチュアート…戦闘中。現在地『ストラスフォード国城下町』

テミス・コロミー…戦闘中。現在地『ストラスフォード国城下町』

ルイス・ハーン…戦闘中。エクストラスキル開放状態。現在地『ストラスフォード国城下町』

 離脱者

オスカ・ヘンリー

仮面の男

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