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ワームという怪物

 ワームという怪物をご存知だろうか。

 基本的にはワームはドラゴンと表記されることが多いが、普通のドラゴンとは大きな違いがある。

 ドラゴンは手足や翼を持っているのに対し、ワームはそれらを持ち合わせていない。

 ワームという英単語は、細長く足のないというものである。

 その意味の通りワームは、蛇のような体を持っている。これに加え、鋭い歯を持ち肉食系としても知られている。

 ワームはドラゴンと同等かそれ以上の大きさである。

 攻撃方法は、長い体を巻き付けて締めることであったり、口から猛毒や火を出したりすることである。

 それ以上に厄介なのが再生能力だ。

 体の一部分を斬り落としてもすぐに再生してしまうため、致命傷が与えにくい。


 

 その怪物は『強制転移(テレポート)』でやって来た。

「時間、稼ぎだ。黒髪の、ガキは殺、すな。他の2人、は殺して、も構いませ、ん」

 ルイスの命令を聞いた怪物は、体をうねりだした。

「『ヘンリー家』の研究で、複数、の個体を、1つの個体、に合成すること、によって、ステータスをさらに、アップさせた怪物、です」

 怪我によって途切れ途切れに言葉を紡ぎながらも、ルイスは自慢げに自らが作成した怪物の説明をした。


「な、なに?この生物は…!?」

 怪物の姿にエミリー達は顔を青くした。

 何メートルあるかも分からないほどの巨体が町中に発生したのだ。

 まさに地獄絵図。

 ルイスとエミリー達の戦闘を見て逃げていた町人達も、遠くからでもはっきりと目視できる得体の知れない怪物に、これまで以上に混乱と恐怖をしていた。


 怪物の名はワーム。


 彼女らがこの名前を知っているかはわからないが、知っていたとしても書物に描かれている姿との変わりように気づかないだろう。

 1匹のワームに複数のワームを合成する。

 そんなことをしたら元々の原型を留めるのは難しいだろう。

 それはもう、うねうね動く『何か』である。

「文献でも見たことがありません…新種のモンスターでしょうか?」

「どちらにしても、これは危険だわ。ここのお城には2か国の王がいるのよ。襲われたら只事じゃすまないわ」

「そうですね。一旦城に戻ってマクルス様に知らせますか?」

 エミリーとテミスは怪物に恐怖しながらも冷静にこれからの行動を決めていく。

「それはやめた方がいいわね。このモンスターがこのまま私達を逃がしてくれるとは思えないし」

「それじゃあ戦いますか」

 エミリーとテミスはそれぞれ武器を構える。

「私が前衛をします」

「了解」

 短いやり取りをしたあとテミスが怪物へと走り出す。

「私も加勢します。誰かのお荷物になるのはいやなので」

 黙って見ていたノンも杖を構える。


 テミスが剣をワームに刺し込む。

 しかし、体が太すぎて斬り落とすことはできなかった。

「体が太すぎます!剣はあまり有効打にはならないかと!」

「じゃあ魔法で攻撃するわ」

 エミリーとノンが攻撃しようとしたとき、ワームの体に異変が生じた。

 ズズズッ…っと斬り口が再生していく。

 再生してからほんの数秒で傷は完全に塞がった。

「再生した!?」

「これはワームだと思われます。しかし、文献で見たものとは大きく異なりますが」

 ノンは元々文献などを読み漁っていたので、モンスターにもこの3人の中では1番詳しいのだ。

「倒し方わかる?」

「一発で全てを消し去れば再生することはないかと」

 ノンの打開策があったとしても、一発でこの巨体を消し去るような威力を持っている魔法などそうそうない。

 次はワームのターンだった。

 ブゥン!と無造作に振り払われた首と思われる部位は、そのままのスピードでテミスに直撃した。




 『限界突破(リミットブレイク)』のあるダンジョンの戦い

 現在の状況

神崎隆二…戦闘可能。現在地ダンジョン

ノン・マティス…戦闘中。現在地『ストラスフォード国城下町』

エミリー・スチュアート…戦闘中。現在地『ストラスフォード国城下町』

テミス・コロミー…戦闘中。現在地『ストラスフォード国城下町』

ルイス・ハーン…戦闘中。エクストラスキル開放状態。現在地『ストラスフォード国城下町』

 離脱者

オスカ・ヘンリー

仮面の男

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