この世界はやはり異世界のようだ
『ステルダム』に到着した俺たち。
石材や煉瓦づくりの家が広がっている。
中世ヨーロッパと言いたいとこだが、分からない人はドラ○エの街並みを想像してくれればだいたい合ってる。
「ここまでありがとうございました」
ここまで馬車で送ってくれた金髪美少女にお礼を言う。
「いえ逃したドラゴンを倒していただきありがとうございます。あの…名前を教えていただけますか?」
名前!?俺のプレイヤーネーム『未設定』だし!!
「えーっと…リュウジです」
「リュウジさんですね。覚えました!!」
普通に通じてよかったー!この人の名前さっき見たとき、『アン・ストレテス』っていういかにも外国人みたいな名前だったから、俺みたいな名前は珍しいのかと思ってた。
「私の名前はアン・ストレテスと言います。以後お見知りおきを」
そう言って、お辞儀をするアンさん。そっか俺は勝手にアンさんの情報を見たから彼女の名前を知ってたんだ。ということは俺の名前を知らなかったから、彼女は俺の情報を見れない?もしくは通常の人は他の人の情報は見れないということか?
観覧できる情報は、名前・スキルの2つだ。
ということはやはり普通の人は他の人の情報は見れないのか?
「あの、やっぱりリュウジさんは冒険者なんですか?」
そこで、アンさんに話しかけられた。
「冒険者?」
「はい。ギルドで冒険者登録をして依頼を受けて収入を得る職業です」
へー!!面白そうだな冒険者!!そんな職業があるんだ。
「ギルド登録はしていませんが、モンスターを倒したりしているので冒険者みたいなもんですかね」
この職業しか知らないから、一応冒険者っていうことにしておく。
ギルド登録しに行こうかな。
「そうなんですね。私は『ステルダム』の騎士団に所属しているので、もしかしたら任務が重なってまたお会いできるかもしれませんね」
アンさんはテンション高めで言う。騎士団というものがあるのか。かっこよさそうだが、組織というのは昔から好きじゃない。いらないいざこざが増えるだけだからな。
「では、また今度。それとここら辺でいい宿屋はありませんか?」
ゲームであったとしても宿屋は大事だ。まあ、宿泊料金が高くてもゴールドめっちゃ持ってるから問題ないけどね。
「それでしたら、そこにある『紅』という宿屋があります。安くていいですよ」
「ありがとうございます」
マップで見るとすぐに分かった。『紅』と漢字で書いてある。ここの標準語は日本語なのか?
いや違うな勝手にスキル取得してた!!
『ステルダム語翻訳スキル』
ステルダム語で発せられた言葉や文字はすべて『日本語』に置き換わる。
おーこれは便利!!勝手にスキル取得機能はアウトだけど。
ちなみに『ステルダム語翻訳スキル』をOFFにすると、何が書いてあるか全く分からなかった。
馬車に結構揺られたおかげで、日が落ちかけているので宿屋にチェックインする。
「泊まりたいんですが、何ゴールドですか?」
「1泊10ゴールドだよ」
太ってる優しそうなおばちゃんが答えてくれた。
「一旦5泊で」
そういって50ゴールドを出す。
「毎度。夕飯はいるかい?」
「いえいいです」
はっきり言ってあまり腹が減ってない。いろいろあったけど何故か減ってない。スキルかな…腹が減らないスキルだったりしたら怖いな。
部屋のベットに寝そべり今日を振り返る。
死んだと思ったら、どこか知らない場所に来てしまった。
モンスターがいて、街並みもゲームチックで。お金はゴールドで。
最初はないと思っていたが、これは信じるしかないようだ。
「やっぱり異世界かな~」
認識すると案外しっくりきた。
明日は何しようかとか、今まで感じたことのない気持ちを感じた。
前の世界より楽しめそうだ。