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オスカとの戦闘(2)

 動き出した影は少しずつ、だが確実に肉体を再生していった。

「くそ!こんなところで『肉体再生』を使うとは思わなかったですぜい!」

 クローゼットからまるでドアを開けるかのように出てきたのは、ルイス・ハーンである。

 彼のもう1つのエクストラスキルは『肉体再生』。

 生きていないとスキルは発動されないのだが、

「俺の体を調べなかったのが惜しかったですな!一瞬の攻撃でも防御する時間くらいある。咄嗟にハルパーを構えたのが正解でしたね」

 仮面の男も誰もいなくなった空間にルイスの声だけが木霊(こだま)する。

 それでも話し続けるのは、生きていたことに歓喜しているからか少し心に余裕ができたこともあるだろう。

「ハルパーというのは『神国』の情報で言うと、『神』『巨人』『怪物』さえ殺せると言われた武器だ。だが、どの世界でも『人間』に『神』は殺せないというのが真実である。そこで神は考えた。ハルパーに神を殺すという能力の代わりになるものを」

 神と同等のモノなど何があるだろう。

 大天使と言えども神の使いであり、同等のモノとは言えない。

 なら、神が選んだ代えはなにか。

「代役をとうとう見つけられなかった神は妥協案を出した。この世界の人間に魔法、スキルを与えたのは神だ。妥協案は『神が与えた力を触れた範囲で無効化する』だった。もし、これが『神が与えた力を強弱関係なく消す』というものだったら、この世界は崩壊に向かっていただろう」

 この世界の均衡を保つ、『神』を殺す能力の代役、この2つを叶えられる能力がこれだったのだ。

 その観点から見たらこの案は最適と言えるだろう。

「確かにお前のクラウ・ソラスは一撃必殺の力を持っていたのかもしれないですね。だが、放たれた閃光に俺のハルパーが一部分触れてほんの少し下げることができました」

 これがルイスが生き残れた理由。

「さあ、どこだ?お前は今どこにいる?」



***



 隆二が『ブースト』を発動した途端、戦況は反転していた。

 オスカが放った攻撃を隆二が受けるだったが、隆二が放った攻撃をオスカが受けるに変わっていた。

「くっ!」

 オスカの顔に苦しさが滲み出ている。

 完全なる攻守交替。

「くそ!何故我が力負けしているのだ!」

「ステータスの違いだ、ばーか」

 隆二は更に剣に力を入れる。

「1つ、教えてやろう」

 剣を薙ぎ払う。


「俺のステータスを見誤った時点で、お前の負けは決まっているよ、オスカ」


 ドゴォォォン!隆二の力を受け止めきれなかったオスカは壁まで吹き飛ばされる。盛大な砂煙が巻き起こる。

「ああ、そうであるな。今撃ちあってみて分かったのである。確実に貴様の方がステータスは上だ」

 だが、とオスカは付け足す。

「我の能力がこれだけだとは言っていないぞ」

 煙の中から不気味な紫色の魔法陣が出現した。

「別に我の能力ってわけでもないが、魔法を知り尽くすとこういうのも使えるようになるということである」

 オスカと隆二のこの世界で過ごした時間は違う。

 オスカは隆二よりこの世界で過ごしているということは、隆二よりこの世界の知識があるということだ。

 なら、隆二が知らない魔法を知っていてもおかしくはないだろう。

「『分身魔法』を知っているであるかな?」

 紫色の魔法陣から出現したソイツは、次々と個体数を増やしていった。

 オスカと同じ容姿。

 狼男。

「ソイツらも『我』だ。我と同じステータスを持ち、我と同じ容姿を持つ」

 その数に隆二の思考が停止した。

 多勢に無勢とはこういうことを言うのだろう。

(まじか!コイツ1人でやっとなのに、この数を相手にするのは無理だ!)

「リュウジさん!仕掛けてきます!」

 ノンの言葉に思考が回復した隆二は狼男の攻撃を受ける。


 ここでまた、戦況が変わった。




 『限界突破(リミットブレイク)』のあるダンジョンの戦い

 現在の状況

神崎隆二…戦闘中

ノン・マティス…戦闘中

オスカ・ヘンリー…戦闘中。エクストラスキル開放状態

仮面の男…戦闘可能。現在地不明

ルイス・ハーン…復活。戦闘可能。エクストラスキル開放状態

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