ゴーレム
ルイスは通路を奥の方に進んだ所にある部屋に居座っていた。
「いやーホント完膚なきまでって感じですね。結構ステータス強化はしてたはずなんですけどねー」
傍から見れば、独り言を言っているように見えるが彼は通信魔法で上司であるオスカと話しているのだ。
「先ほど程度のモンスターに『無に還し』が負けるわけがないのである。攻撃力の予想に誤算がありそうだが、そこまで警戒しなくてもいいのである。お前は引き続きモンスターを転移させろ」
「了解でございまーす!俺はいつ出ればいいっすかね?」
「手駒が無くなってからでいいのである。その部屋に奴らが来たら戦ってくれ」
「了解でーす!」
通信魔法を切ると、ルイスは魔法陣を展開させる。
「第2試合目!開始ですぜい!」
***
「教えてくださいよ~」
ノンは隆二の圧倒的な強さに安心したのか、彼女は執拗に隆二にレベルの公表を求めていた。
「いやだよ。いつか教えるから」
隆二としては死ぬまで言わないつもりであるが、ミノタウロスを倒してから今までずっと聞いてきたので、もう言ってもいいかとも思っているのである。
彼はレベルを誰にも言っていないから知らないが、『LEVEL1920』なんて言ったら発狂ものである。
「!ちょっと待て」
隆二がノンを停止させる。
2人の耳に、忍び寄る音が聞こえる。
忍び寄る音は少し表現が違ったか。
体があまりにも大きいからかそれとも、自らの圧倒的な力を認識しているからか。
敵は足音を大きく響かせ隆二たちに向かって歩んでくる。
先ほどのミノタウロスと同じかそれ以上のサイズ、特徴的なのは赤く光っている目。体となる部分は石でできているように見える。
『ゴーレム』。強靭な体を持ち、その巨体から繰り出される攻撃はこのダンジョンの床を軽く突き破るだろう。
そう思ってしまうほど、ゴーレムは圧倒的なオーラを放っていた。
「これがゴーレム…!」
「デカいな…攻撃通るか?」
ノンは少し下がり気味になっているのに対し、隆二は対処法を冷静に考えていた。
それは自分のステータスを理解しているからだろう。ゴーレムのレベルは『LEVEL100』、隆二のレベルと比べてかなり低いである。
先に仕掛けたのはゴーレムだった。
ゴーレムは握りこぶしを作り拳を振り下ろしてくる。迫りくる拳は隆二の身長ほどあり、さながら何メートルもある岩が落ちてくるようなものだろう。
(後ろにはノンがいるから避けたらまずいな。だったら!『空間防御』!)
バコォォン!!という音と共に、隆二の『空間防御』とゴーレムの拳が激突する。
「ひっ!」
あまりの迫力にバリア内のノンが声を上げたが、2人とも潰されずに生き残っていた。
「この中から絶対に出るなよ」
バリアから飛び出し隆二は臨戦態勢をとる。
隆二が拳を放つ。
いつものように体にめり込むと思われたが、彼の拳はゴーレムの体にひび1つも作らなかった。
「何!?」
『オイオイ!そんな攻撃じゃコイツには効かねぇですぜ!』
ルイスが通信魔法を使って隆二たちに話しかけた。
『こいつは改造されて、《物理攻撃軽減》《攻撃力アップ》《スピードアップ》《防御力アップ》の効果が付与されてるんですよー!これ改造した俺って天才!?』
「調子に乗るなよ。俺が物理攻撃しかできない何て言った覚えはないぞ」
隆二は魔法一覧から炎属性のものを選ぶ。
多くのゲームをしていたからか、もしかしたら宗教のことを少しネットで調べたことがあるからか、彼はゴーレムの倒し方を知っていた。
ゴーレムの体のどこかに『emeth』という文字が書かれてある紙がある。この『emeth』の『e』の文字を消して『meth』という文字にすることで『死んだ』ということになる。
つまり隆二はその紙は探さず、ゴーレムを丸ごと炎に包むことで紙を焼いてしまおうというのだ。
「『業火の柱』!」
魔法陣から放たれた炎は、ゴーレムを包み込んだ。
最初は何も起きなかったが、ある時を境にゴーレムが音をだして崩れていった。
紙を焼ききったということだ。
『ちっ。対処法を知ってたのか。面白くないですねぇー』
「いつまでこんな雑魚をこっちに寄越すつもりだ」
隆二は見えない敵に向かって言った。
「いつまでも安全な場所で楽しめると思ったら大間違いだぞ。必ずお前の顔を拝みに行ってやる」
『限界突破』のあるダンジョンの戦い。
現在の状況
神崎隆二…戦闘可能
ノン・マティス…戦闘可能
ルイス・ハーン…戦闘可能。現在地不明。
オスカ・ヘンリー…戦闘可能。現在地不明。




