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接触

「どうやら目的地がずれたようなのである」

 ワイシャツを着た体格がいい男、オスカ・ヘンリーは自分の研究所にいた。

「勘付かれったてことですかい?]

白衣を着ている金髪のオスカの部下、ルイス・ハーンは質問する。

「そこまであの、リュウジという者の勘が優れているとは思えないのである。多分あの小娘の依頼内容が変わったんではないかと考えられるのである」

「いや~めんどくせぇことをしてくれたもんですね~。あっと!俺のスキルのテレポートでそいつら2人共ダンジョンに飛ばしましょうか?」

 

 ルイスのテレポートの能力は隆二のとは少し違う。

 隆二のテレポートは自分と触った者を転移させるのに対して、ルイスのテレポートは自分は転移できないものの、対象を頭に思い浮かべることでその人物がどこにいても強制的に転移させることができる。


「そうであるな。お前に任せるのがいいであろう。だが、お前は奴らの顔が分かるのであるか?」

「わかんないっすね。っつうことで今からちっとばかし奴らの顔を拝みに行ってきまっす!」

 そう言ってルイスはハットを深く被り研究所を後にした。



***



「さて馬車を借りて行けばいいの?ノンの村には」

「いえ、遠すぎて馬車がついてきてくれないので歩きになりますね。2日か3日かかるので途中に通りかかる村で休息をとりながらになりますね。でも1つ先の村までは馬車で行けます」

 ノンからの説明を受けて俺たちは馬車乗り場に向かった。


 毎度毎度、馬車に乗ったときに思うのだがもう少し乗り心地をよくできないのだろうかと。

 前の世界よりかは断然文明が発達していないので、車とまでは言わないから、どうにか揺れないように改造してほしい。

 これをノンに言っても御者の人に言っても意味がないので、心の中で言っている。



 何時間か、それもケツが痛くなるほど馬車に乗り、コーリ村というところに着いた。

 コーリ村もストラスフォード国だそうだ。一体この国はどれほどの領地を治めているのかと気になってくる。

「ここで一旦宿を借りた方がいいですね。ここから先は馬車が使えなくて次の村に着くまで、相当時間がかかりますから」

「そうか。じゃあここでも珍しいお店を紹介してもらおうかな。宿を借りるのはその後ね」

「珍しい店はないですけど、市場は活気があっていいですよ」


 ノンに案内されて市場に到着すると、売り子さんや店の人の威勢のいい声が響き渡っていた。

「すごい活気だな」

「土地は狭いですが、それなりに人口がありますからね」

 2人で話していると隣から声がかかった。

「冒険者ですかい?ポーションはどうですかねぇ?」

 ハットを深く被ったその男は、そう言ってポーションを出してきた。

「ッ!…いや足りているからいいよ」

「それは残念です。足りなくなったらいつでも買いに来て下さいね」

 そう言ってその男はこの場から立ち去った。

 俺は答える際に驚いた。

 理由はこいつも情報が観覧できなかったからだ。



***


「あいつがオスカさんが言ってた奴かぁ~」

 ルイスは楽しそうに笑った。

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