初めての依頼
『情報屋』と話した後俺はギルドに向かった。
「あ、リュウジさん!いいところに来ましたね」
リンデさんが話しかけてきた。
「リュウジさんに依頼っていうわけではないんですけど、誰も受けたがらない依頼がありますが受けますか?」
何故誰も受けたがらない依頼を俺に推薦する?
「どんな依頼何ですか?」
「詳しくは書かれていませんね…」
リンデさんは依頼書を見て、
「ですが、行く場所は書いてあります。ステルダム国に1番近い『ストラスフォード国』にあるダンジョンを攻略したいっていう感じですね。そのダンジョンの難易度がかなり高いらしくて、レベル100超えじゃないと無理らしいです。まあ、リュウジさんはレベル100を超えてなくても強いので依頼を受けれますよ」
レベル1920とは言えねー。
「でも『ストラスフォード国』までは結構な距離がありますし、ダンジョンの難易度も高いという結構ハードな依頼なのですが、報酬がゴールド500だけなのでそこは気をつけた方がいいですよ」
俺がその依頼を受ける前提で話が進んでいるな。
暇だから別にいいけど。ゴールドもあるからいいけど。
「じゃあその依頼受けます。依頼主はどこですか?」
「依頼主は午後3時くらいにもう一度来ると言っていたので、そのくらいの時間帯にもう一度来てください」
「わかりました」
リンデさんに返事をして俺はギルドを出た。
そういえばこの世界に来たときに貰ったギフトに回復ポーション99個あったのを思い出した。
回復ポーションがHPを回復することは知っているが、回復ポーションは何やら階級のようなものがあるらしいのでそれが知りたい。
本を探すか。いや、こういうのを聞くのにうってつけのヤツがいる。
よし!あそこに行こう!
俺はある路地裏を目指した。
「本日2回目のご来店ありがとウ~」
「どうも。情報って程でもないがお前に質問したいことがある」
「回復ポーションの階級についてだ」
「なるほド。じゃあ10ゴールドくレ」
ホイっとゴールドを投げる。それにしても高くね?ぼったくりだろ。
「まず、回復ポーションの階級は『初級ポーション』『中級ポーション』『上級ポーション』『最上級ポーション』の4つダ」
「『初級ポーション』はHP30パーセント回復。『中級ポーション』はHP60パーセント回復。『上級ポーション』はHP90パーセント回復。『最上級ポーション』はHP100パーセント回復と『状態異常』を回復だナ」
『最上級ポーション』は優秀だな。特に『状態異常』回復は時間経過でしか解除できない状態異常を飲んだだけで解除できるのはありがたい。
まあ、ダメージをくらうことはあまりないと思うが。
「じゃあこのポーションがどの階級か分かるか?」
そう言って俺は情報屋に持っているポーションを渡す。
「これハ…最上級ポーションじゃないカ!どこで手に入れたんダ?最近では全然見つからないし製造に時間がかかるから相当高いんだガ」
「…ダンジョンで見つけた」
嘘です。ギフトです。言えないけど。
「ふーン…ダンジョンでねェ~?」
情報屋は俺を疑っていたが探るのを止めたのか、
「まあいイ。ともかくこれは希少価値があるからできるだけ自分で持っておけヨ」
「ああ。ありがとう、助かったよ」
礼を言って俺は路地裏を抜けた。
やることがなくて買い物で時間を潰していたら、ちょうどいい時間になったのでギルドに向かった。
依頼主の顔は分からないので、まずリンデさんに話しかける。
「時間になったので来ました。依頼主の方はいますか?」
「リュウジさん!ちょうどさっき依頼主の方がいらっしゃいました。こちらへ来てください」
付いていったさっきにはソファーがあり、1人座っていた。
「どうぞ座ってください」
リンデさんに促されソファーに腰を下ろす。
ようやく依頼主の顔が見えた。
パッチリ大きい黒い目に幼さが残る顔。
ショートカットで内まきの黒い髪に黒いストローハットをかぶっている。
黒いポンチョの下には、黒いワンピース、足にはニーハイソックスを着ていた。
「どうも。今回依頼を受けることになったリュウジと言います」
「依頼を受けていただきありがとうございます!私はノン・マティスと言います!呼び方はノンで構いませんし、敬語じゃなくていいです。今回はよろしくお願いします!」
そう言ってペコっとお辞儀をするノン。
「じゃあ俺のこともリュウジでいいよ」
「いえ、さん付けの方が慣れているので」
なんか素直でいい子だ。幼さが残っている影響でか妹ができたような感じがした。
「で、依頼はダンジョン攻略でいいんだよね?」
「はい!明日出発でいいですか?急いでいるわけではありませんが、行動が早いことに越したことはないので」
「分かった。じゃあ明日の朝8時くらいにここで待ち合わせしようか」
俺がそう言うとノンは少し言いづらそうに、
「えっとーステルダム国に来るまでにゴールドを使いすぎてしまって宿屋に泊まるゴールドがないので…少し貸していただけるとありがたいのですが…」
おずおずと聞いてくる。
ゴールドはたくさんある。
「オッケー。俺が泊っている宿に泊まりなよ。その方が便利だし」
「はい!ありがとうございます!」
ノンは嬉しそうに返事をした。
「じゃあ宿屋に行きながら話そうか」
「そうですね」
リンデさんに挨拶をして、俺とノンはギルドを出た。




