カンストしている俺のステータスは如何に
行く当てがない、ここがどこかも分からない、絶賛迷子中の俺。
人がいればいいが、マップを探しても人らしい表示がない。
ん?マップでこちらに向かってくる赤い点が表示された。
だがこの速度は恐らく、人間じゃない。
俺のところに凄く近づいてくる。
「グギャァァアァァォ!!」
マップの赤い点に集中していた俺の耳に何かの鳴き声が響く。
赤い点自ら、俺の視界に現れた。
赤い点の正体。
RPGでは必ずいるモンスター。
ドラゴン。
「おいおい嘘だろ…本当に転生ってやつか?」
思わず声がでた。
そのドラゴンと俺との距離はまだ数キロあるが、ステータスカンストが関係しているのか分からないがいつもより遠くまで鮮明に見える。
全身10メートルありそうな巨体。全体的に赤い皮膚。俺の倍はありそうな羽。研ぎ澄まされた爪。圧倒的な威圧感を放つ赤い目。
完全にどこから見てもドラゴンだった。
観察している間にどんどん近づいてくるドラゴン。
逃げようかと思った。でも、自分の視界を見て安心した。ステータス表。この崩壊したステータス表があれば大丈夫だろう。単純にそう思った。
剣や銃はないが、攻撃力が999999もあるんだ。多分武器が無くてもいいはず。
俺を射程範囲に収めたドラゴン。
「グギャァァァオ!!」
RPGでお馴染みのブレス攻撃を放ってくる。
それを直でくらってしまうが、ここでスキルが発生する。
『火炎耐性』
火属性によるダメージを削減する。
発動したおかげで熱さはほとんど感じない。まあHPがヤバイほどあるから、ブレス攻撃でHPが全部減ることはないが精神的にありがたい。
そしてもう一つスキルが発生する。
『自動ヒーリングスキル』
攻撃を受けHPが減ると自動的に10秒間に10000、HPを回復する。
やばいなこのスキル。10秒間に10000回復なら、多分俺のHPが0になることはないな。
やられてばっかじゃ癪だ。こっちは元戦闘職なんでね。
ドラゴンの頭めがけて飛翔する。
おお…!!すんげぇジャンプ力がある。
ドラゴンの頭上空5メートルほどまで飛翔できた。
ドラゴンも飛んでるのを考えて、地上からジャンプしてドラゴンの頭の上まで飛べるということは、軽く飛んでも20メートルは余裕でいけそうだ。
俺はドラゴンの上空で握りこぶしをつくる。
上空から思いっきりドラゴンの頭めがけて振り下ろす。
バコォーーーーン!!
「グギャァァァァァ!!」
パンチが意外と効いたらしく、っていうかもしかしたらもしかしなくてもあの9の並んでいる攻撃力のおかげだと思うが、ドラゴンの体はそのまま地上にめり込んだ。
パァァァ――
そして光の粒をまき散らしながら、消えた。
RPGと同じらしく、モンスターは倒すと消えて経験値やドロップアイテムを落とすようだ。
そして俺の視界にはいる文字。
――LEVELアップしました!
1000が最高じゃないの!?まだLEVELアップするの!?
LEVEL『1000』→『1100』
おっと成長速度が異常だぞ!どこまで上がるんだ!ドラゴンってそんなに強かったのか!?
これ以上LEVELが上がったら魔王化しそうだから怖い。
俺のお悩みボックスの中に、1つ追加された新しい項目。
どうやってこのLEVELアップを抑えよう。
これからの行動で上位にはいるほどの大きな悩みが今、追加された。