謎の男
隆二と赤い目はもう少しで地上というところまで来ていた。
地上も『白い爆発』の影響で視界が白く遮られている。
赤い目を追ってついに地上に出たが、赤い目の正体は分からなかった。
赤い目はそのまま森の奥の方へ飛んでいく。
追いかけていくうちに視界が段々と開けてきた。
同時に赤い目の正体も分かった。
カラスだ。
普通のカラスならば隆二は追いかけるのを止めたかもしれない。
しかし、カラスのステータスがおかしかった。
『使い魔』
『スキル表』
『追跡魔法』…対象を追跡または監視する。
カラスが何者かの使い魔ということが分かった。
使い魔というのは魔法で使役する動物などのことである。
たぶんこの使い魔の主人がカラスに『追跡魔法』を付与したのだろう。
カラスの向かう先。
隆二の視界にある男が入った。
ココア色のロングの髪。黒いスーツを着て、サングラスを頭にかけている。
そして、1番目立つのは頬から目の上まで及んでいる古傷。
カラスは男に近づき肩に乗った。
「やーお帰り。変なのを連れてきたね」
男はカラスにそう言い、隆二を見た。
すると、突然目を見開いてから笑みを浮かべた。
「まさか、『君』とはね。久しぶりだね。あいつの世界樹の反応が消えたから何が起こったかと思ったが、『君』なら世界樹を倒すなんて容易いだろう」
男は隆二に旧知の仲のように話しかけた。
隆二は男の名前を観覧しようとしたが、できなかった。
ステータス、名前。男の情報というものが全て『観覧不可』の表示になっていた。
「お前はだれだ?」
観覧できないのならば、聞くしかないと考えた隆二は男に質問する。
「…そうか。『君』はまだそのレベルなんだね。進化前というところか」
男は隆二の質問には答えず、意味の分からないことを言った。
「『君』には分からないだろうが…一応聞いておこう。『神先家』は何をおっぱじめるつもりかな?『君』が来たということはこの世界で何か起こるのかな?まあ、僕としては戦いは大歓迎なんだがね」
男はそう言った。
「今の『君』には分からないだろうが、いつか僕のことも思い出すだろうね」
「じゃあ、バイバイ。また会おうね」
男はそう告げて、転移魔法のように消えていった。
「なんだったんだ…?」
隆二はあんな男の知り合いがいる覚えがない。
とは言え、あの男の正体は分からないので考えても今は意味がないと考えた隆二は、発動中だったエクストラスキルの『無に還し』を解いた。
すると、隆二の体はそのまま後ろに倒れ仰向けの状態で動けなくなった。
発動後の『行動不能』状態だ。
今回発動していた時間は5分くらい。
つまり、50分は動けないということだ。
(しまった!エミリーさんたちの所に戻ってから解けばよかった!)
こうして隆二は森の中で50分間仰向けの状態でいることとなった。




