世界樹との戦闘(3)
隆二の『火剣』とレインの杖が衝突する。
「くっ!火属性はきつい!」
「弱点を教えてもらったんでね」
レインは隆二の剣が纏っている炎を忌々しそうに見る。
魔法陣を展開させ世界樹の枝を出してくる。
「それしかできないのか!めんどくせぇ攻撃出しやがって!」
隆二も斬っても斬っても出てくる枝に集中力を削られていた。
「それにしてもぉ、よくダンジョン外に私がモンスターを発生させたのを感知したもんだぁ」
「スキルでわかるんでね。それに、何故か発生しているモンスターの名前まで表示されるようになったから分かったよ」
隆二のマップスキルはそこにいる人やモンスターが赤い点で表させるようになっていたが、いつからかモンスターの場合はそのモンスター名が表示されるようになったのだ。
「なるほどぉ…思ったよりスキルが多そうだなぁ。だが、お前に構っていられるほど私は暇じゃあない。あの杖を早急に回収しなければいけないわぁ」
「その杖の持ち主の主ってのは誰だ!?」
「言う義理がないわねぇ」
レインは教える気はなさそうだ。これほどの執着心があるなら『ケミニーホープ』は重要な武器なのではないかという疑問が隆二の中に沸く。
「今度こそお前には黙ってもらうわよぉ」
隆二が世界樹の枝をほぼ斬り終わったころ、レインの周囲に数十個の魔法陣が展開される。
「世界樹幹創生術」
魔法陣から出てきた幹はそれぞれ集まって3つの大きい幹を造り上げた。
直径3メートルはありそうな大きさだった。
「殺れ」
レインはそれだけ言ってその幹を隆二に伸ばしてきた。
――ビュォォォ!!
幹は凄まじい速度で隆二に迫る。
「くそ!」
隆二は魔法一覧からある項目を選ぶ。
幹の1つは隆二に激突しダンジョンを突き抜け、地上へ飛び出した。
***
隆二によって強制転移させられたエミリーとテミス。
2人が見た光景は正に地獄だった。
ステルダム国の騎士団が応戦しているが、モンスターの群れが減るころはなく、兵士に重傷者が増え劣勢になっていた。
「そんな…ステルダム国の騎士団がこんなに簡単に…」
エミリーとテミスは固まって動けなかった。
「そこにおられるのは、エミリー王女でおられますか?」
そこに金髪の兵士が話しかけてきた。
「私の名はアン・ストレテスです。こんな所で何をなさっているのですか?」
アン・ストレテス。エミリーたちは知らないが、彼女は隆二がこの世界に来て初めて会った人間である。彼女は騎士団に所属しているため、王国の指示でこの戦場に来たのだ。
「私はエミリー・スチュアートです。助けてください!私の師匠があのダンジョンの中で、ボスと思われる女と戦っているのです!」
エミリーの切羽詰まった様子にアンはただ事じゃないと思った。
顔が青白くなっている。何かが怖かったのか。それとも、その師匠を失うのを恐れているのか。
「師匠とはだれですか?」
まず『師匠』が誰なのかを把握しなければならない。
「リュウジっていう人です!髪が黒で、全身真っ黒の服を着ている人です!」
「リュ、リュウジさん!?」
彼女はここで数日前に初めて会った少年の名前を聞いて驚いた。
少年は一体何をどうしたら王女の師匠になったのだろう。
その時――
――ドコォォォォォォン!!
ダンジョンから地上を突き破って大きい木の幹が3本出てきた。
「師匠!」
エミリーがたまらず声を出す。
レインの額にも汗が滲んできた。
あの少年は無事だろうか。




