世界樹との戦闘(1)
「ぐっ!!」
「師匠!」
「リュウジさん!」
腹に直で世界樹の枝がめり込む。
そのままの勢いで壁に吹き飛ぶ。
「いがいと…効くな。だが、あいにく俺は『苦痛軽減』のスキルを持ってるんでね」
ステータスが高いことも関係しているだろう。HPもほとんど減っていない
防御力が高くてよかったと俺はホッとする。
「ふむ。しぶといとは思っていたが、防御力が結構高いようだなぁ。普通の人間なら貫通してもおかしくないんだがぁ」
「師匠!大丈夫ですか!?」
エミリーさんとテミスさんが駆け寄ってくる。
「心配ない」
剣を構えなおす。
「2人は下がってて」
そう伝えて俺は全速力で駆けだす。
『ブースト』発動。
「まず、お前を抑え込まないとなぁ」
レインはそう言って十数個の魔法陣を展開する。
魔法陣から出てくるのは、世界樹の枝。
――ブチィィ!!
前方や左右から襲い掛かってくる世界樹の枝を片っ端から斬っていく。
奴のところまでは数メートルだ。
いちいち斬っていくのはめんどい。
火属性広範囲魔法 消費MP100 『業火の柱』
全ての世界樹の枝を焼き尽くす最中に、一気に奴の懐に入る!!
奴を間合いに捉えた。
俺の速さに驚いてか、魔法の威力に驚いてかレインは目を見開いている。
―チャンスだ!!
剣を斜め上から振り下ろす――
俺の剣は奴を捉え、腹に斜め一直線の深い傷を負わせた。
「ぐっ!!」
奴の口から血が出る。
致命傷になったか?
俺がそう思ったとき――
…ザワザワザワ…
「なっ!!」
奴の体から世界樹の枝が生えてきて、傷口を塞ぎ、枝は肌となった。
「致命傷になったと思ったかぁ?お前は少し勘違いをしている。私は魔法を発生させているが、世界樹は発生させていない」
「自己紹介がまだだったなぁ。私は『世界樹』だ。私自身が世界樹なのだよぉ」
世界樹…レイン・プレインは不気味に笑った。
「つまり、お前の体は人間に見えて植物ってことか?」
「そうねぇ。だからいくら私の体を斬ろうが、どこか一部分が残っている限りは無限に再生するわぁ」
めんどくさい体だ。斬っても斬っても再生したらこっちの体力が切れるのが先なのは目に見えている。
「まあお前は耐久力があるから、少しの時間黙ってもらおう」
レインが魔法陣を展開する。
俺の足元に魔法陣が出現する。
「世界樹拘束魔法」
――ゴゴォォォォ…!!
俺の足元の魔法陣から出現した世界樹の枝が俺に巻き付く。
「師匠!」
そして――おびただしい数の枝が集まり、1つのデカい木を作り上げた。
それは、ダンジョンの最深部から地上に届いてしまうほどの。
その木に埋め込まれている状態の俺は、身動きがとれない。
けど、俺のステータスならこれもなんとかなるんじゃね?
「さてぇ。邪魔者はもう動けない」
「返してもらうぞ。その杖」