ダンジョン攻略開始
まだエミリーさんとの特訓まで時間があるので、今日もギルドに向かう。
俺担当のリンデさんの顔が見えた。
「どうも。いいクエストはありますか?」
「あら、今日も早いですねリュウジさん。リュウジさんの実力に合うものはありませんね…ダンジョン攻略に行ってみてはどうでしょうか?」
「ダンジョン?」
「ダンジョンとは古代の国が造った建造物です。その国の重要な物が眠っている場合があり、特に古代の魔導書などは高値で買い取られます。最近この近くの地下にダンジョンがあると騎士団から報告があったので、まだ攻略している人は少ないと思います」
「じゃあダンジョンに行ってみます」
ダンジョンもゲームの醍醐味だ。やはり古代に造られたということならば、かなりのスケールだろう。
任務でお金持ちの屋敷に侵入することが多々あり、その度にどんな構造になっているんだろうとワクワクしていたのを覚えている。
リンデさんに地図で場所を教えてもらった。
それにしても今日も今日とて包帯を巻いている冒険者が多くいる。
HPが回復したら傷も一瞬で治るのではないのか?
残念ながら俺のスピードが速すぎて、モンスターから攻撃をくらわないので傷を負ったことがない。
「HPが回復すると傷も治るんですか?」
リンデさんに質問してみた。
「治ります。ですが、時間がかかりますね。怪我はHPがフル回復の場合は治るまでかすり傷程度でも15分ほどかかります。しかも怪我を治すのを自然治癒力…簡単に言えばHPフル回復の状態で怪我が治るまでまって、怪我を治すとかなり体力を消耗します。まあHPが0にならない限り死ぬことはありませんが」
「15分ですか。長いですね」
なら俺の『自動ヒーリングスキル』もあまり役に立たない。HPが0にならない限りは死ぬことはないということだが、傷の痛みで動けないなら意味がない。まあそこで役に立つのが『苦痛軽減』なのだろう。このスキルのおかげで、骨折してもほとんど痛みを感じないから。まあ攻撃をうけることはほとんどないと思うから、もしもの時のために覚えておこう。
「では、行ってきます」
「いってらっしゃい」
リンデさんに挨拶をしてダンジョンに向かう。
***
「おーでけぇなー」
視界に広がるのは石の壁でできたダンジョン内。
入口はこれは洞窟かい?というくらい簡素なものだったが、ダンジョン内に入るとしっかり造りこまれていた。
光源は所々にある松明のみ。
暗闇でよくは見えないが、奥に黒い影が見える。
剣をストレージから出し背中に装着する。拳銃は腰に装着。
「さて、この中で一番強い奴はどいつかな?」
雑魚相手じゃ楽しくない。
俺のステータスを受けきれるほどの者を探すため。
ダンジョンを進む。