魔法が使えない理由
「エミリーさんが俺の弟子になる??」
「はい!!リュウジさんに魔法をご教授お願いしたいのです!」
エミリーさんが段々と間を詰めながら迫ってくる。
「…なぜ?」
心の底から湧いてきた疑問を口にする。
「私は昔からMPがたくさんあるのに、なぜか魔法が使えないのです…」
「エミリー様!それは口外してはなりません!」
今まで黙って聞いていたテミスさんが発言した。
「いいのよ別に。この話はいつかは民衆にも広がる。それでリュウジさん?私に魔法を教えていただけませんか?」
「んー別にいいけど」
「ホントですか!?」
「ああ。でも何で俺なんだ?教師とか雇って教えてもらった方がいいだろう?」
俺はこの世界に来てからまだ日が浅い。いくらステータスがカンストしていても、この世界のことを何でも知っているわけではないのだ。
エミリーさんはこの国の王の娘なのだから、雇おうと思えば何人でも雇えるだろう。
「それが…今まで何人もの教師を雇いましたが、結局1度も魔法が使えなかったのです」
「なるほど…」
王の依頼なのだからそれなりに魔法に詳しい者が選ばれたんだろう。だが、それでも使えないということになると、彼らより魔法の知識がない俺は何も役に立たないかもしれない。
一応エミリーさんのステータスとスキルを見てみるか――
「!!」
「?どうしたのですかリュウジさん?」
「なっなんでもない」
あった!エミリーさんが魔法を使えるようになる方法が!
「分かりました。エミリーさんが魔法を使えるようにしてみます」
突然のことに驚きを隠せない2人。
さて、短時間でこの依頼を遂行しよう。これは意外に簡単だ。
***
「エミリーさんに質問したいんだけど、今まで使おうとした魔法は何?」
「えっと…初級魔法の小炎弾だけですね」
やはり。それを教えた教師はやはり優秀だったのだろう。
普通は魔法が使えない者には初級魔法を教えるべきだからね。
しかし、エミリーさんの場合は少し違う。
「じゃあ中級魔法の火炎の呼を使ってみて」
火炎の呼とは杖や手の前に魔法陣を展開させ、そこから霧状の火を出す攻撃だ。範囲が広く、攻撃力はやや低いが、コントロールが難しい魔法でもある。
「そんな!!無理です!まだ初級魔法も使えないんですよ!」
「まあまあ。1回やってみなって」
俺に言われて渋々エミリーさんは杖を構える。
「火炎の呼!!」
――ボォォォォウ!
魔法陣が展開され、霧状の火が出現した。
「うそ…!!」
エミリーさんとテミスさんが目を見開いて驚いている。
なぜ魔法が使えたのか。それはRPGではよくある機能が関係している。
MMORPGに多いが、何かのスキルのロックを解除しないと次のスキルが使えないという機能だ。
まず最初に必ず使えるようにならないといけないスキルを覚えると、次に覚えれるスキルの解除がとけてスキルポイントなどで開放できるアレだ。
エミリーさんの場合はその魔法版と考えていい。
本当は初級魔法の小炎弾を覚えると自動的に次の魔法が覚えれるんだろうが、エミリーさんの場合は最初に中級魔法の火炎の呼を覚えないと次の魔法が使えなかったのだ。
さっきエミリーさんの魔法表を見て分かったのだ。
最初に覚えなければいけない魔法が火炎の呼と表示されていたから。
ここまでくれば、後はエミリーさんに覚える魔法の順番を教えるだけだ。
俺は未だに驚いている2人を見て密かに笑った。




