第5話 自己常識の破壊、もしくは自己統一性の崩壊(20161117改稿)
一応カクヨムの方に投稿したものを修正してこっちで投稿してます。先をよみたいなら少ししか進んでないですがカクヨムの方へどうぞ
「なあ、なんか喋ってみてくれ」
「……はぁ?」
咲はここが、どこであるかを推察するためにここに来たことを思いだした。そしてなぜグリーにこんなことを言うかというと、先程舞が、『日本語に聞こえるのに口の動きが日本語ではない』という発言を咲が思い出したからであった。
「………それは面白いことを話せってか?」
「いや、別に面白くなくていい」
「…………………?」
「でも面白くないとあんまり聞く気になれん」
「無茶ブリにも程があるわ」
………うん。なるほど。確かに口の動きが日本語ではない。もう少し見てみるか。咲は、検証するために、グリーにこんな提案をする。
「じゃあさ、しりとりしようぜ」
「お前…………『ホモ』だったのか…………!?」
…………は!?
「ちがうわ!!」
「やめろ!!ちかよるな!!わかったから!!面白い話するから掘らないでくれ!!たのむ!!」
「違う言うとるやろがっ!!」
咲はグリーを落ち着かせて、しりとりの説明をした。もしかしたらここでは、『言葉遊び』という概念事態がないのかもしれない。
「なるほど、要は前の奴が言った単語の最後の音を、一番最初に持ってきて、単語を繋げていく、という遊びか。それがしりとりなのな?」
「そゆこと。あと俺はホモじゃねぇ。」
自称ホモじゃない咲は、グリーのことばに頷きながら、ホモ疑惑を否定する。
「とりあえずしりとり。やってみないか」
「え?まさかやっぱり…………!?」
「…………そろそろ殴っていいか?」
グリーの砕けた言葉使いに、もうとっくに年齢など忘れてしまった咲。出会ってから数時間しかたっていないのにも関わらず、軽口を叩き会うどころか、殴打宣言をするほどにまで達した。
「冗談じゃねぇか。冗談。」
「ったく…………」
「んじゃやってみるか」
「おう」
「『しりとり』」
「『ゴマ』」
:
:
:
…………マジか。
「俺はさっき『しりとり』と言ったよな?」
「?そうだな」
「次は?『り』だぞ?『り』。」
「いや、だから『ゴマ』だって、『ゴマ』。次は咲の番だ。」
先程までなんの障害もなくしりとりをしていたはずが、急にとまった。これは、どういうことか。
いや、予想していたことだが。
改めて、こう事実を目の当たりにするとやはり、驚いてしまう。やはり、グリーの話している言葉は日本語ではない。発音などが根本的に違うのだろう。そうでなければあのようなことは起きない。
「そうか、いや、変なこと聞いて悪かった。しりとりはおれの敗けだ。」
「はぁ?……………まぁいいか。」
閑話休題。
「そういえば、なんでこんなとこに倒れていたんだ?いや、わけありのようだから言いたくなきゃいわなくてもいいけどな。」
「………ここで倒れてたらおかしいのか?」
「いや、おかしいかと聞かれたらおかしくないのかもしれんが………ダンジョン化の傾向があるから近づくなと町に通知したはずなんだがなぁ……知らなかったのか?」
…ダンジョン化。
いや、まだ大丈夫だ。
こいつの冗談かも知れない。
かといって冗談なのか?とは聞く気もないが。
「……知らなかった」
「……そうか、まあ調査した結果もうそこまで危なくは無さそうだから大丈夫だろうけどな。唯一危険だった要素はサキがグリズリーを倒したおかげで消えたしな(………………)」
最後の方が聞こえなかったが、別にいいか。追及されたら困るし。まあ、倒した記憶がないということは黙っておこう。
それより、調査した結果という言葉を聞いて咲はグリーに質問する。
「ここに派遣された調査員だったのか?」
「いや、もともとここにこの家を持ってたからここの調査を任せてもらったんだよ。本来調査員を使うがわの人間なんだよ俺は」
「偉いってことか」
「そうだ。俺は偉いんだ」
30代が10代に役職が偉いことをどや顔で自慢するのってどうなんだろう……。
そんな他愛もないことを話していると
「グリーさーん。お客さんですよー」
という声がした。
……いまのは鈴木の声か。一瞬だれだかわからなかったぞ。
「おう、嬢ちゃん!今手ぇ離せないから待っといてくれって言ってくれないか」
「別に手が離せない仕事なんてしてないけどな」
「バッカサキお前、社交辞令ってやつだよ!」
社交辞令の使い方を間違えていると思うのは気のせいだろうか。
そして多分こんな大きな声で話したら来客した人にも聞こえてるのではないだろうか。
「いえ、今からそっちに向かうそうですー」
「お、そうか」
どうやら、お客さんとやらがこっちにくるらしい。
「俺はどうすればいい?」
「どうすればいいって?」
「いや、だから俺はそのお客さんとやらを知らないから」
「別にいいだろ?」
「いや、別に俺はいいんだけど」
問題はお客さんが、俺のことを受け入れるかどうかなんだが……
と、そのとき。
玄関前から歩いてきたであろうお客さんが
グリーと咲の前姿を表した。
「よう、グリー。調査はどうだった?」
「おう。お前さんか。ルベルト。調査はほとんど終わったところだ。」
「結果はどうだ?」
「まあさほど危険がないことがわかった。唯一危険だったブラックグリズリーも死んだしな。」
「さっすが『二つ名』持ち。どうせ、瞬殺だったんだろ?」
「いや、倒したのはサキだ。」
「サキ?そのお前の前にいる奴か?」
「ああ。しかも切り口から見るに首を一撃で両断してあった。」
「マジか!それはすげえな。よくこんな体でそんな荒業をできたもんだ。」
「だろ?」
「サキって言ったっけ?俺はルベルトだ。
よろしく」
「あぁ……」
「ん?どうした?元気がないな。」
「おい、サキ?」
「あ、あぁ、大丈夫だ……」
内心かなり動揺していた。
というよりも唖然としていた。という方が正しいだろう。
なぜなら、
ルベルトと名乗る男の頭には、獣の耳が付いていたのだから。
この頃細かな設定ばかり思い浮かんで小説思い浮かばないの草