第10話 朝に入る風呂について
いつも短いけど今回はそんないつもより短め。
………………暑い。
目が覚める。するとそこには見慣れない天井が……………見えない。天井すら見えない。なんだこれは。
瞼に映るは淡い水色。ある程度昇っている太陽が視界にはいり、目が眩む。
上体を勢いづけて起こし、跳ねるように起き、辺りを見渡してから思い出す。
「……………あぁ、そういや屋根上で寝たんだっけか。」
そうだ。昨日、泣きついてきた鈴木が俺にのっかかるように寝てしまったために、俺も身動きがとれなくなり、仕方なくそのまま寝たんだった。
………そういや鈴木は?
屋根から下を見渡しても姿は見えない。恐らくは家のなかに戻っているのだろうが……。
「一人にするなっていった奴が自分から一人になるってどうなんだ…………」
というか、先に起きたのなら起こしてほしかった。まあ、今さらのことである。
さて、咲は梯子を下り、グリー宅へと戻る。そしてリビングの方へ足を運ぶとそこには。
「あ、結月君。おはようっ」
台所でなにかを作っている鈴木がいた。
…………メイド服で。
「…………お、おう。おはよう」
何故まだそれを着ているんだ、という突っ込みは昨日と同じく押さえ込み、そのままスルーして椅子に座る。そして、舞が今作っているであろう朝食が卓の上に出るまで、本でも読んで時間を潰そうとする咲。
咲が少し椅子から腰を浮かし、本棚に手を伸ばした。
「あ、あのさっ、結月君っ」
「ん?」
「お、お風呂沸いてるから、入ってきたらどう?」
それは有難い提案であった。外で寝ていたことで、太陽(地球で見えていた太陽ではないのだろうが便宜的に太陽と呼ぶ)光に晒されていたことにより、今、咲の全身は汗でぐっしょりと濡れていた。
軽い虚脱感もある。
風呂に入りたい。最低でも水で流したい。と思った咲。そして、そんな矢先に舞のこの提案である。
風呂か。入りたいが…………。
「グリーは?」
「グリーさんは今寝てるよ?」
「風呂使っていいか聞いたか?」
「うん、昨日聞いてある」
それならば問題ないだろう。というかいつの間に聞いたのか……………。しかし、服はどうしようか。
「制服は洗濯したあと、二、三時間で乾くらしいから、その間は体操服着ればいいんじゃないかな?」
なるほど。
「んじゃ、入ってくるわ。」
「う、うんっ。あっ、これタオルっ」
「あぁ、あんがと」
そうして風呂場を探しながら廊下を歩いた。
…………それにしても何故顔をあわせるたびに赤面しているのか。昨日まで赤面するといっても、そんなに赤みがかってなかったよな?
「あ━━━━━━━━━。生き返るわー。」
咲は現在風呂に入っている。
風呂やはりプラスチックとかではなく、木でできていた。
ちなみにシャワーはない。
代わりに風呂とは別に、風呂の半分くらいの大きさのものがあり、そこにも湯が沸かしてあった。恐らくこれで流してから入るのだろう。
なので風呂から風呂桶でそこから湯を汲んで洗い流した。
とにかく、今言いたいことは朝風呂は気持ちいいということだ。
とにかく咲は今、ものすごくリラックスしているのだった。
すべての質問を生返事で答えるくらいには。
「あ、あの、結月君」
「んー?」
「せ、背中流してもいいかな?」
「あーいんじゃない?」
「じ、じゃあ今から準備するね?」
「おーぅ」
…………ふぅ。あー気持ちいいな。
というかさっき鈴木の声がきこえたけどなんだったんだ?適当に答えたけど大丈夫かね?まあ、おおかた湯加減はどうとか、そんな話だろ。
さて、そろそろ上がるかな。
んっと、もっかい体流すか。
咲は風呂の椅子に座った。
ガラッ
「じ、じゃあ背中流すね?」
…………………うん。なぜ?
『朝起きたら隣に美少女いないかな』となんど思ったことか。
というか何時来てもいいように、半分開けて寝てるからもうそろそろ来てもええんやで(⋈◍>◡<◍)。✧♡