67話 呪いの真実
気が付くと俺はまた夢の中で見た世界にいた。ここは確かあの時見た村のような場所だ。しかし前回見た光景と違っていた。
そしてどこかで見たことのあるような服を着た少女が恐らく両親と思われる人と手をつないで歩いていた。その少女は両親からの愛情を沢山受け幸せいっぱいの表情をしていた。きっと家庭なんだろうと思った。
その時俺は思い出したのだ。あの少女が着ている服が前回見た木に縛られている子供と同じ服だったのだ。あの時は服がボロボロになっていたので最初分からなかったが間違いなく同じ服である。
俺が少女の顔の方へ視線を戻すと少女がこちらを向いて俺を見ているように感じた。そして完全に少女と目が合ったのだ。
その時突然目の前の光景が変化した。
これはどこかの家の中だろうか?辺りが暗くよく見えなかった。すると急に扉が開き光が差し込んだ。俺はまぶしさで目を閉じた。そして目を開けると大勢の人が家の中に入ってきた。
『いたぞー!』
家に入ってきた人達は手に刀や槍を持って俺の方を向いてそう言った。俺は訳がわからないまま後ずさりした。
『突然なんだというんだ!?』
俺の後ろから急に声が聞こえて俺は慌てて振り向いた。するとそこには先ほど見た家族が立っていた。三人は驚きと恐怖に満ちた顔をしていた。
『お父さん、お母さん。怖いよ・・・・・・』
少女がそう言うと母親が少女を抱きしめた。
『私達がいったい何をしたというんだ!?』
父親がそう言うと槍を持った一人の男が答えた。
『悪魔が何を言ってやがる!人間のふりをして紛れ込んでも無駄だ!』
悪魔?この人達は何を言っているんだ?俺には全く理解出来なかった。そんなものがいるはずないだろ?
しかし俺の考えを無視するかのように目の前の光景は進んでいった。
『私達が悪魔?いったい何のことだ!?証拠があるのか!?』
『お前の家から夜怪しげな光が出ているのを目撃した者がいる!それだけで十分だ!』
『そ、そんなバカげたことで』
『とにかく悪魔だと疑われている時点で終わりなんだよ!潔く死ね!』
男がそう言うと父親を槍で刺し殺した。部屋中が血飛沫で赤く染まった。そして男達は少女から母親を引きはがし母親を斬りつけた。
『うわぁー!お父さん!お母さん!』
という叫び声が部屋の中に響いた。
『悪魔でも血は赤いんだなぁ!』
そう言いながら男達は次から次へと少女の両親を斬りつけていった。俺は恐怖のあまりその光景を見ていられなくなり顔をそらした。そして
『おい!子供は殺すな。こいつは見せしめにするんだ』
男達が少女を掴んで連れて行こうとした。
『いや!離して!お父さん!』
少女は抵抗したが顔や腹を殴られてぐったりすると男達に連れて行かれた。
男達が去って行くと家の中には俺と真っ赤に染まった肉片だけが残った。先ほどまで人の形をしていたとは思えない酷い状態だ。俺は気分が悪くなり嘔吐いた。
『何なんだよこれ!?』
俺がそう言うとまた目の前の光景が変化した。今度は先ほどの少女が木に縛られていた。これはあの時に見た光景だ。
『殺してやる!』
少女はそう叫んでいた。しかし通る人が少女に向けて物を投げていた。
『うるさい悪魔の子め!お前なんか死ね!』
少女の家族は悪魔だと疑われて虐殺されたのだ。昔どこかで悪魔狩りと呼ばれるものがあったことを思い出した。そして少女は悪魔だとこういうことになると見せしめるためにここで磔にされているのだ。
『なんて酷いことを・・・・・・』
しかもあの家族は特にこれといった証拠があった訳ではないのに殺された。こんな世界があったことを俺は想像したくなかった。
そしてまた光景が変わった。今度はあの時に見た牢屋である。やはり原型がわからないほどの顔になっていた。さらに次の瞬間大量の水が流れ込んできて少女を呑み込んだ。
『呪ってやる。私の周り全ての者を呪って殺してやる!』
少女は最後にそう言って死んでいったのだ。
辺りが真っ暗になった。俺は力が抜けて膝をついた。
『これが・・・佐久野の呪いの・・・真実なのか?』
俺はそう呟いた。すると
『そうだ』
俺の後ろから声が聞こえた。




