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呪われた転校生  作者: にごう
2章:佐久野色乃
35/80

35話 見えぬ悪意

私と葉月が一緒に朝学校へ着いて教室に入るとざわついていた教室が突然静かになり皆の顔が私達に注目したのである。まるで異様なものを見る目でこちらを向いていた。

『えっ、なに?私達何かした?』

葉月が私に尋ねてきた。しかし私も何もわからなかったので首を横に振って答えた。すると一瞬で教室の雰囲気が元に戻った。

いったい何だったんだろう?そう思ったがその原因はすぐにわかった。

『な、なにこれ・・・?』

私が自分の机を見て驚いた。もちろん悪い意味でだ。私の机には沢山の書き込みがされていた。

「学校に来るな」

「帰れ」

「呪い女」

「死ね」

「お前がいると皆が不幸になる」

他にも沢山の言葉が書かれていた。私は何が起こったのかわからない状態でただその机を見つめたまま固まっていた。イジメである。


机を見たまま固まったままの私を見て葉月が飛んできた。

『色乃どうしたの?』

そして私の机を見た瞬間葉月の顔色が変わった。

『なんなのこれ!?誰よ!こんなことやったのは!』

葉月が教室中に響き渡るように声を上げた。私はその光景を見て我に返ると目から涙がこぼれた。

しかし葉月がどれだけ言っても誰からも返事はなかった。


1時間が始まり先生が来るまでの間葉月はずっと教室中で声を上げていた。

担任の南毛(なもう)先生が教室に入ると教室内の異様な風景に何かを感じ声を出している葉月に声をかけた。

『田影さん何かあったの?』

『先生!色乃の机に誰かが酷いこといっぱい書いたんです!』

それを聞いた先生は私の机を見て言葉を失った。それから私に大丈夫?と一声かけてすぐに教卓へ戻った。

『1時間目は授業をやめてホームルームにします』

そして先生はそう言った。


先生は全員の出席をとると早速本題に入った。もちろん私の件だった。

『佐久野さんの机にあんなことをしたのは誰ですか?』

先生は優しい声で皆に尋ねたが誰も答えなかった。すると先生は残念そうな顔をして紙を用意し始めた。

『正直に言ってくれたらこんなことせずには済んだんですけど仕方がないわね。今から全員に紙を配ります。そこに名前を書いて自分がやっていた場合は正直に書きなさい。いいですね』

そう言って先生は用意した紙を配り始めた。

全員に行き渡ると

『では書いて下さい。書き終わった人は紙を折って下さい。先生はやった人が正直に名乗り出てくれると信じています』

この時も私はただ泣いていることしかできなかった。何故こんなことになってしまったのかわからなかった。


そして全員が紙に書き終わった頃を見計らって先生が声を出した。

『それでは紙を回収して回ります』

そう言って先生は一人ずつ机を回り紙を回収し始めた。

全員分を回収し終わると先生は1枚ずつ紙を開き始めた。クラス全員がその光景を見守っていた。

先生は無表情で紙を開き続けた。そして全ての紙を開き終わると残念そうな顔をしてクラス全員を見回した。

『誰も名乗り出てくれなくて先生非常に悲しいです。皆の中にそんなことをする人がいるとは思いたくないですが起こってしまっているのでどうしようもないですね・・・』

やはり誰も名乗り出なかったのである。それから先生は1時間目の間イジメについて話し続けた。


休み時間になると葉月を含めた数人が私のところへやってきた。

『色乃、大丈夫?』

葉月が声をかけてくれた。

『うん・・・ありがとう・・・』

私はうまく返事が出来なかった。それを見た友達の1人が

『大丈夫よ!たまたま変なことが続いてるだけで色乃は悪くないんだから!私達だっているんだし!ね?』

私は涙が止まらなかった。やっぱり友達がいてよかったと思った。

『これからも私達は色乃と一緒にいるから大丈夫よ!ねっ皆!』

葉月がそう言って他の皆がうん!と答えた。

それから皆は私の机を綺麗に拭いてくれたのだ。


その日以降私に対するイジメはなくなった。しかしあの日の翌日数人が同時に学校を休んだのである。

後に私は休んだ人が犯人だということを知った。悪意を持ってでも私に関わることには変わりなかったのだ。

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ブログ にごうきち Twitter @nigo_do_vi
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